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縦ながドーナツの名前は

ー バルセロナ きらきら太陽の真下のカフェで ー

◇このエッセイは二十年ほど前のバルセロナのお話しです◇

 ドーナツみたいに油で揚げてあり、棒のような形で、シマシマのデコボコお菓子のことをチュロスという。
 外の売店では、チュロスに砂糖がパラパラかかっているだけだが、カフェで食べるならコーヒーカップに入った、とろとろのチョコレートソースにつけて食べるととてもおいしい。さらにもっとおいしく食べたいなら、チョコレートソースに生クリームも一緒に入っているのを注文するといいだろう。この二つを絡ませながら食べるチュロスは本当に至福の味なのだ。
 チュロスは普通のカフェでは食べられない。ここバルセロナには、日本でいう甘味処に似た昔ながらのデザートが置いてあるカフェがあり、そこで食べるのだ。男同士で語らいながらチュロスをつまむ姿もたびたび見かけるが、ここバルセロナではそれは自然な風景だ。
 甘味処風カフェに入ると、浅草にでもやって来てしまったような、そんな下町の空気がただよっている。どうしてこのバルセロナで、浅草の甘味処を感じてしまうのか不思議だが、そういう雰囲気なのだ。それは例えばシンプルな机や椅子、そして古さを感じるわりには清潔感のある内装。年老いた店主や家族のような従業員。ウインドウにディスプレイされている商品の素朴さなどが、それをイメージさせるように思う。ぜひ、バルセロナの甘味処風カフェで浅草を感じて欲しい。

ここからは二十数年前からヒューッと時間をもどし、現在のことをかきます。

冒頭で、このドーナツの形や見た目を書いたが、現在の日本ではその必要がないほど、チュロスは一般的に知られたお菓子になっているような気がする。
 そういえば、ここ3年以上はチュロスを食べていない。
年を重ねるごとに油っこい揚げ物スイーツが苦手になってきているのだ。
短めのチュロスが一本だけならおいしく食べれそうだが、それ以上はダメそうな感じがする。ドロドロのチョコレートソースも重たいし、ましてやそれプラス生クリームだなんて、今の私にはムリムリムリ!
ちなみに、チョコレートソースの上に生クリームがこってり乗っかっているのをスイサ(Suiza)という。カフェのメニューにそう書いてあるので、たのんでみるといいだろう。上の写真のように、コーヒーカップに入って出てくるのだ。
このスイーツは食べ盛りのティーンエイジャーから30代までの若者向けだ。
コレステロールや血糖値を気にする方にはおすすめできないし、ましてやお肌を気にする方もやめた方がいいだろう。でも、一度は本場のホンモノのチュロスを食べて欲しいし、甘味処風の雰囲気も味わってもらいたい。そうそう、夏の時期なら爽やかな味のオルチャータがあるだろう。あるにちがいない。
オルチャータとはウィキペディアによるとキハマスゲの根っこの絞り汁に水と砂糖もしくは蜂蜜を加えたものだ。味はひとそれぞれ感じ方が違うかもしれないが、私は柿の味に似ているように思う。さっぱりした甘さの夏のドリンクなのだ。これは健康ドリンクだとスペイン人が言っていたので、年を重ねるごとにどんどん飲んで欲しい。でも、飲み過ぎは注意。

それでは今日はこのへんで。良い一日を ボンディア!
 


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