「実力を発揮する力」の話
second placeの佐藤です。
どうぞよろしくお願いします。
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1994年、リレハンメル冬季オリンピックをテレビで観ていたときの話です。現在まで様々な世界で活躍されている荻原健司さんがスキー・ノルディック複合に出場されていました。
当時はまだ日本人のアスリートが国際大会で結果を出すことが今以上に難しいと考えられていて、テレビを通してですがどこか不安そうで、緊張している様子の選手たちが多かったことを記憶しています。
そんな中、ノルディック複合のジャンプ競技を観ていたときでした。通常、スキーのジャンプ競技のテレビ中継では、スタート位置にいる選手の様子を映すことが多いかと思います。多くの選手がまっすぐ前を見つめ、ときには何かつぶやきながら、風を読んでいるコーチ陣の合図と同時にスタートする、という流れになるかと思います。
「続いて日本の荻原!」という実況が聞こえてきて、画面にはスタート地点にいる荻原選手が映し出されたときでした。彼は緊張している様子どころか、突然カメラの方を向いて、舌を出したのです。
中学生だった私には、「あれ、なんかちがうな…」というような感想しか出てきませんでしたが、ノルディック団体で金メダルを獲得したこと、また、日本国内で「競技中に少しでも笑顔を見せることはNG」というような何となくの考え方がまだ強かった当時の記憶として、今でもとても印象に残っています。
今振り返ってみると、あの場面であの行動を取った荻原さんは、とても余裕がある精神状態で、とても良く周りが見えていて、おそらく自分の実力を発揮することができる状況だったのではないかと想像しています。スポーツの国際大会に出場するとき、もちろんその競技の技術や戦術はとても重要で、日々磨き続けていく必要がありますが、同じように国際試合の雰囲気を理解し、実力が上の相手であっても弱気になることなく、「自分の実力を発揮すること」もまたとても重要なのだと思います。
現在では様々なスポーツの多くのアスリートの方々が、海外を拠点にすることで、国際試合を特別なものではなく「当たり前のもの」として自分の中で捉え、「自分の実力を発揮する力」を養っているのだろうと想像しています。
例えば最近の海外を拠点にしているサッカー選手の試合のときの表情などを見ると、精神的に後手に回ることはまったくなく、むしろとても落ち着いていて、「やってやる!」という気概のようなものを感じさせてくれる選手がとても増えてきた印象です。
あとは「当たり前の」日々の中で感じているであろう身体的な差による違いや精神的な駆け引きなど、技術や戦術を磨き続けることで、さらに活躍する機会が増えていくのだろうと思います。
second place 佐藤
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