【詩】眺めのいい部屋

塗装のはげたドアー
廻るさかしまのチャリ
汚れはその日のうちに　借りはその年のうちに
そう言って9年が経ちました
そう言って10年が経ちました
あぁロボットと暮らしたかった
優しくマッサージしてくれるロボとか
心の襞くすぐるような会話とか

もう思い出すことも
これから作る思い出も
焼却炉に，消えてしまった

殺し合いも構わなくなったのは
互いの姿がわかったから
屠殺場送りのマニュアルができたのは
互いのことがわかったから

萎びた段ボール
錆びたチャリの車輪が廻っている
汚れはその日のうちに　借りはその年のうちに
そう言って90年が経ちました
そう言って100年が経ちました

あぁロボットと暮らしたかった
優しく抱きしめてくれたり
メンタルケアしてくれるとか

もう思い出すことも
これから作る思い出も
井戸の底に，消えてしまった

友好的になれるのは
互いのことがわからないから
平気でハグできるのは
互いのことが遠いから