ラジオのように

乾いた雑巾のようだ　誰も見向きなどしない
未来はその手の中だと言った　確かに言った
そしてそれは雪のように溶けた
馬券売り場より脆い時間
空を殴れたら　体を煙に浸せたら
水のようになれる　森のようになれる
のに
アフタヌーンティーをひと口
尻に火がついていたって
おにぎり買う金がなくたって
ひび割れた地面に降り注ぐ太陽
倒れている人は仔犬の顔をしていない
ニットに穴が空いているのを見つけた
この生活よりはまだマシな空き方
汚れた白いシャツ
風を孕んで明日も着られる
汚れた白いシャツ
アパートの壁のシミのよう
壊れたラジオみたい
壊れたスピーカーみたい