沼、脱獄、結晶

スカートの裾が風に舞い
雨が死体の匂いを際立たせる
わずかな手持ちの布の切れ端
奪われて踏みつけられて
アパートのシミとなる

くだらない歌歌って
夜にはクダを巻く
朝には我に帰る

群衆　スリ　脱獄　吝嗇
病室のベッドの足が崩れる
群衆　殺し合い　裏切り　放蕩
メロドラマさえ懐かしくて

排水溝に詰まる害虫
羽根むしられて
ツンツルテンになって
排水溝から見上げる空
脚むしられて
口がなくなった

誰もいないバー
誰もいないステージ
花でいっぱいのドラムセット
帰る場所なんかとうに無くしたのに
誰もいない部屋
主人を失った白いシャツ
転がる石さえ難しい
消毒ガスで消える意識