グラジオラスの花束を
浮腫んだ顔 その小さな逆らいは
なんだか息が引っかかる気がした
煤けたアノラック
発せられる臭い
白けたロータリーにもたれかかってある
壁の向こう側の虹の根本
埋められている財宝と美しい死体
駅前の基督たちは通り過ぎていく
彼らは清く正しく賢い
駅前の基督たちのその一歩
米粒さえ黒い犬に冷たい
羊の肩肉 泥まみれのおにぎり
誰も食わない鹿の腐乱死体
土色の酒を飲み下して
嘲笑と気持ち悪さを渡され
グラジオラスの花束で彼女を殴った
絶対に許さない
口に出して
絶対に許さないと
口にしてみて
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