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“暗黙知”を豊かにする学びとは?

「学び」と聞いて、どんなことを連想しますか?
例えば、リカレント教育でDXを学ぶ、オンラインの学び放題プログラムで興味がある分野を学ぶ、資格取得のために学ぶ、大学院に行って専門分野を学ぶ…etc
2022年10月の臨時国会において、岸田首相が「学び直し(リスキリング)支援に5年で1兆円を投入する」と表明されたこともあり、ますます「学び」に対する注目度が上がっていますね。
SECIモデルは新たな知を生み出すプロセスであると同時に、最強の自己強化プロセスでもあると考えています。今回は「学び」と「SECI」についての考察を書いていきたいと思います。


何を学ぶ?

自分が本当にやりたいことをやろう!

かつては、これを学びなさい、と会社がカリキュラムを決めていたり、
この仕事のためにはこの資格が必要だ、といった
必要に迫られた半強制的な学びが当たり前でした。
そして最近では、
「強制されて勉強しても身にならない」
「試験の点数を上げるための勉強では意味がない」
「本当に自分のやりたいこと、興味があることを学ぶべきだ」
と、個人のやりたいことを重視する風潮が高まってきました。
内発的動機から学びをスタートすることはとても大切だと思っています。
※ご参考まで、私の尊敬する方の記事を紹介します↓↓

じゃぁ、何を学ぶ?

大学、ビジネススクール、各自治体など、
様々な講座が開設されていて、お値段ピンキリ。
何かやってみたい気持ちはあるけど
でもいまいちピンとこないんだよなぁ…。
絶賛やりたいこと探し中。
という方、案外多いんじゃないでしょうか?
(正直、私もその1人です)

よい目的のために学ぶ

もし今「これをしたい!」という目的やビジョンがある場合は、
自ずと「何を学ぶか」が明確になってきます。
この状態の時は是非、今必要な学びに邁進してください!
きっとあなたの目指す場所に近づけるはずです!
SECI体感ラボはいつもあなたを応援しています!!

一方で、目的やビジョンが明確じゃない場合はどうしたらいいの?
という方には、続きの記事がヒントになれば幸いです。

何から学ぶ?

何を学ぶかより、何”から”学ぶか

何を学ぶか、も当然大切です。
が、それも分かったうえで、我々はこう考えます。
「”から学ぶ力”は、学ぶ力そのものである」

例えば、最新のDXの知識を学んだとします。
知識を活かして仕事をすることができ、お給料も上がるかもしれません。
でもその知識はいつか古くなり、
学び続けなければ使えない知識になってしまう危険をはらんでいます。
つまり、すでにある「形式知」を学ぶことで自分自身を成長させる効果は
一時的と言えます。
では、自分自身をスパイラルアップさせていく学びとは何でしょう??

ひと言でいうと、「日々の経験から学ぶ」こと。
自分自身の狭い経験からですが、いくつか具体例を書きたいと思います。

その1 育児から学ぶ

私事ですが、現在育休中です。会社を休んで早4ヵ月が経ちました。
育児をしていると、あっという間に朝が来て日が暮れる…
そんな毎日を過ごしている中で、
「私、今日何してたんだろう…」
「1日が早すぎて焦る…」
「こんな毎日でいいんだろうか…」
と、常に焦りや不安を抱えていました。
でも育児って「人間として成長できるとっても素晴らしい経験」だと
私自身そう思いますし、一般的にもそう言われますよね。
なのになんでこんなに日々達成感がないのか…。
という会話を夫としていた時に出てきた発想は「勿体ない」でした。

そもそも育児は素晴らしい経験なんだから育休中は堂々と育児すればよい。
そのうえで、集中力、観察力、危機管理力、段取り力など、
今までの生活では使っていなかった神経を使いまくっているのだから
その経験を学びに変えないのは勿体ない!

…確かに!!

その2 趣味から学ぶ

私事ですが、かれこれ15年くらい合気道を嗜んでおります。
下手の横好きですが、体を動かすとストレス発散になりますし、
生涯スポーツなのでおばあちゃんになっても続けたいと思っています。
武道をやられたことがある人には伝わりやすいんじゃないかと思いますが、
”道”の考え方って、人の生きる道じゃないですか。
なので、合気道で感じたことがビジネスでも当てはまるんですよ。
・相手とのちょうどいい距離感
・力を入れると相手も力を入れる(力を抜けば相手の力も抜ける)
・負かすでもなく、倒すでもない
・呼吸を合わせ、心を合わせ、私たちはどうありたいかを考える
あぁ、同じ考え方なんだな…と思う場面がこれまでもたくさんありました。

その3 会話から学ぶ

私事ですが、こうした気づきはだいたい夫との会話から得ています。
自分ひとりの頭で考えても、なかなかいい視点は得られません。
他者との会話があるからこそ、自分の体験を言語化し、
そこに新たな意味付けをしていくことができます。
そして会話の中で
「あの時の経験って、〇〇に似てる」
「これとあれって、結局根っこは一緒だよね」
みたいなことによく気づきます。
同型問題(※)に気づくと、課題の本質を掴みやすくなり、
解決も早くなると思っています。
※ご参考まで、同型問題については以下の書籍が分かりやすいです。

~余談~
ありがたいことに、夫と2人で育休を取っているため、
育児に関しては共体験が山ほどあります。
一方で、共体験をしているのに
イライラしてしまうことが多々ありました。

これくらい見てたら分かるでしょ?なんで動けないの?
今これやった方がいいと思うんだけど…(相手に遠慮して言えない)。
そんなすれ違いの中で、大事なことに気が付きました。

行動の背景は、言葉にしないと伝わらない(見てれば分かる、なんてことは絶対ない!)。

特に、感覚で当たり前にやっている(できてしまう)こと、
よかれと思ってやっていることほど、
相手には伝わってません。驚くほど何も。


私がなぜこれを準備しているのか、この順番でやっているのか。
夫はなぜこれを私と違う順番でやろうとするのか。
その理由を言葉にして、私はこうだ!自分はこうだ!を出し合って、
ビジョンを見せ合う。
すると不思議なことに、主張は平行線だったにも関わらず(笑)、
翌日から同じビジョンを見始めたのです!
しっかり主張し合ったことで、
自然と相手の意見も尊重することができるようになっていました。
きっと、我慢して本音を言わないとか、
納得していないのに納得した振りをするとか、
そういう会話では生まれてこないと思います。
(もしかして、知的コンバットってこういうこと…かも??)

”から”学ぶ力

歴史、恋愛小説、RPGゲーム、マンガ、野球、最近のニュース…
つまり何でもいいのです。
心が、自分の感性がピンと動く瞬間をキャッチしてください。
暗黙知には、自分でも気づいていない知がたくさん含まれています。
それが、日常の中のちょっとした刺激で飛び出してくる瞬間を逃さず
意識下に置いてあげる。
これが「から学ぶ」=「暗黙知を豊かにする学び」なんじゃないかなと思います。

暗黙知を豊かにする学び

リフレクション

「から学ぶ」ために必要なことは、リフレクションだと考えています。
「リフレクション」という言葉自体はみなさんもよく使われると思います。
が。
単純に過去の出来事や行動を振り返って反省することではない
と我々は考えています。

行動の前提となるのは、過去からくる思い込み。
その誰もが持っている思い込みに対して、
対話することによって別方向から光を当てる。
そして自分自身をメタ認知し、思い込みを手放すことで(アンラーン)、
新しい価値が生まれます。
※ご参考まで、「認知の4点セット」についてリンクを貼ります。

※SECI体感ラボでは以下の書籍でABDを実施しました。当ラボで実施するABDについてはこちらをご参照ください。 

学びのスパイラルアップ

何かを学んだ(習った、覚えた)、だけでは足りないのです。
その理由を料理に例えるとこんな感じです。

何かを学んだ(習った、覚えた)は、素材を手に入れたということ。
買ってきた素材を並べただけでは、美味しく食べられません。
素材同士を組み合わせる、調味料を足す、火を入れることで、
食べられる料理(使える知)になっていくと思います。
さらに、料理をレシピ通りにただ繰り返し作るのではなく、
工夫を重ねて改善していくことで美味しさが増し、
その人らしい味付け(個性、強み)が出てくる。

このような流れが、学びのスパイラルアップなのではないでしょうか。
「から学ぶ」ことで、自分の中の知識を繋ぎ合わせ、
実際に使える知識(実践知)に進化させていくことができるのです。

自分自身の実践知に気づく

初めてのことを最初から上手にできることはないです。
新入社員は電話応対が上手くできないのと同じように
新米パパは赤ちゃんをお風呂に入れるのに四苦八苦です。
でもある時、ちょっとだけ上手くいったかも、という瞬間が来ます。
慣れかもしれませんし、偶然かもしれません。
そしてちょっとだけ上手くいくことが増えていき、
いつの間にか意識しなくても自然に電話応対ができるようになり、
いつの間にかお風呂の時間が楽しく感じられるようになります。

あなたを構成しているたくさんの実践知は、
あなたが「から学ぶ」を実践してきた証です。
できて当たり前だと思っていることほど、
たくさんの実践知が詰まっています。
そして当たり前なことほど言語化が難しい。
それを敢えて言語化してみることで、自分自身の実践知に気づき、
ひいては他者の新たな学びに貢献することができるのです。
※言語化するための「問いかけ」についてはまた今度書きたいと思います。

SECIは最強の自己強化プロセス!

聴き合って(S)、言葉にして(E)、つなげて(C)、やってみる(I)。
SECI体感ラボでは、
「”私“の暗黙知」が、「“私たち“の形式知」に変換され、「“私たち“の形式知」が、「“私“の暗黙知」になっていくプロセス
と表現しています。(詳細はこちら↓↓)

今回の記事の「学ぶ」が指す行動は、
いわゆるお勉強(座学)や仕事上のスキルUPだけではありません。
あらゆることをやってみる、経験してみる。
そこから得られる理論的なもの、感覚的なもの、身体的なもの、
そのすべてが自分自身の暗黙知として蓄えられていきます。
今日より明日の暗黙知を豊かにできるかどうか。
それは「から学ぶ力」にかかっている
のではないでしょうか。

最後まで読んでくださってありがとうございました!
(担当:大久保)

✩告知✩
2023年9月7日(木)夜に、SECI体感ワークショップを開催します!
詳細は改めてお知らせしますので、お楽しみに!

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