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”知”ってなんだ!?

”知”(知識と同じ意味で捉えていただいてOKです)って聞いたとき、
あなたは何を思い浮かべますか?
・学校で教わるお勉強
・会社の業務マニュアル
・学術論文や参考書
・AIで再現できること etc
色んなイメージ、表現があると思います。
では、SECIモデルにおいては”知”をどう捉えているのか?
個人的な考察も含めて書いていきたいと思います。


暗黙知と形式知

暗黙知

SECI体感ラボのワークショップでは、
このようなスライドで暗黙知と形式知について説明しています。

知の氷山モデル

暗黙知は、まだ全然言葉になっていない知識。
何となく分かるけれど、はっきりした言葉になっていない知識。
氷山の図のとおり、
形式知に比べて暗黙知の方が圧倒的に豊かだと言われています。

野中郁次郎先生の書籍では、このように表現されています。
暗黙知は、主観的な知(個人知)、経験知(身体)、同時的な知(今ここにある知)、アナログ的な知(実務)。
主観的、直感的であるため、体系的・論理的に処理したり、他人に伝承することが難しい。

1つ暗黙知の例を出します。
みなさん、自転車に乗ったことはありますか?
自転車に乗っている時、特段何も考えずに
右折や左折をしていると思います。
でも実は、自転車で曲がるって結構複雑なことなんです。
ロボットに右にハンドルを切る指示を出しても、上手く曲がれない。
なぜか??
実は自転車は右に曲がるとき、
ちょっとだけハンドルを左に切らないと曲がれないんです。
逆に、左に曲がる時は
ちょっとだけ右にハンドルを切ってからでないと曲がれない。
こういう複雑な動きを、誰に教わるでもなく当たり前にやっているんです。改めて自分が運転してるところ思い返すと、確かにハンドルを逆に切ってるかもなぁっていうところがわかるかもしれません。

つまり”知”は、言葉になっていないけれど身体に染みついているもの、と言えると思います。

形式知

形式知は、言葉になっていたり、図になっていたり。
つまり見える形で表現されている知識を指します。
冒頭に記載した、マニュアルや参考書のイメージですね。

野中郁次郎先生はこのように表現されています。
客観的な知(組織知)、理性知(精神)、順序的な知(過去の知)、デジタル的な知(理論)。
論理的言語によって伝達できる知識。

知”は学ぶもの、という感覚になりやすいのは、
知識インプット系の学校教育や、資格取得のための勉強というイメージが
強いからかもしれません。
そして、今すでに形式知化されている”知”は
AIに学習させることができる時代になりました。
我々がこれまで一生懸命学んできた知は、
AIから一瞬で取り出せる知になりつつあります。

二項対立ではなく二項動態

暗黙知と形式知。
これらの関係はについて野中先生は、
完全に別々(二項対立的に独立して存在する)なものではなく、
相互に作用し合って、互いに成り代わるものである
と仰られています。
SECI体感ラボのワークショップでは、
4象限をくるくるするSECIモデルの図の前に、こんな伝え方をしています。

暗黙知を言葉にして、形式知にしていく。
そして形式知にしたことを実際にやってみる。
すると、実践したことがだんだん暗黙知として内面に染み込んでいく。
こうして暗黙知と形式知を行ったり来たりする中で、
新しい知が生まれていきます。
※SECIモデルの4象限の説明はこちら↓↓をご覧ください。

暗黙知・形式知に関する参考図書はこちらです。

普遍的な知、流動的な知

普遍的な知って?

普遍…つまり、いつでもどこでも誰にでも何にでも当てはまる”知”って
なんでしょうか。
・1+1=2だ
・太陽は東から出て西に沈む
などが考えられるかと思います。
もちろん正しいことですが、
現実世界でも完全に当てはまると言い切れるでしょうか?。

例えば…
「リンゴ1個で200円、3個買うと500円」(1+1=2にならない)
みたいなことって、ありますよね。
以下は参考サイトです。

また、南極には白夜と極夜があり、日が沈まない・登らない日もあります。
一見普遍に見える”知”も、文脈や状況によって変わるのです。

もう変えようがない(と思われる)歴史についてはどうでしょうか。
もちろん事実は変わりませんが、歴史を紐解くにあたって
新しい発見があったり新たな解釈が加わると、
「1192(いいくに)つくろう鎌倉幕府」が
「1185(いいはこ)つくろう鎌倉幕府」に
変わったりするわけです。

文脈、状況によって変わる知

みなさんの会社にも、何らかの業務マニュアルがあると思います。
それっていつ作られていますか?
昨日?1年前?3年前??
もし3年前だったとしたら、今はここ違うんだよな…っていう点が
少なからずあるんじゃないでしょうか?
また、その業務マニュアル通りに仕事をしたとして、
それだけで十分でしょうか??
状況によって別の工程を組み合わせたり、手順を省いたり入れ替えたり、
臨機応変に対応している、という方が殆どかと思います。

何を目指すか、何を実現したいかによって、
どの知を使うかは常に変わります。
お昼ごはんを食べようと思ったとき、
近くの飲食店を探すこともあれば、
クックパッドでレシピを見ることもあるでしょう。
一生懸命レシピを見ているのに、
あのお店のオムライスが美味しいよ、と言われたら
喧嘩になることもある訳ですね(笑)。
そんな時何て言ったら仲直りできて一緒にお昼ごはんを食べられるのか、
これまでの経験や相手の価値観を踏まえ、今の状況を観察し、
次の行動に繋げていく
訳です。

余談です。
クックパッドの「つくれぽ」という、
レシピを見た人が実際に作ってみた写真をUPするシステムがあるのですが、
これが実に面白い。
同じレシピを見ているのに、全っ然違うんです。
独自のアレンジを加えている方もいますが、それを差し引いても全然違う。
理由のひとつは、レシピの曖昧さです。
・鶏もも肉はひと口大に切ります
・にんじんは千切りにします
・ゴボウはささがきにして水にさらします
・味を調えるため塩コショウ少々

これの解像度を上げていくとこんな感じでしょうか。
・鶏もも肉を3センチ角に切ります
・にんじんは長さ5センチ、薄さ2ミリ、幅1ミリに切ります
・ゴボウは包丁の背で皮をこすって剥き、 ゴボウを回しながら、包丁を寝かせて、削るように薄く切り、水を張ったボールに落としていきます。
・塩コショウは味が薄いと思った場合に0.2グラムを振りかけます
(料理をする人からすると逆に分かりにくい!)

とはいえ。
下段のレシピだったとして、
やはり全然違うものが出来てくるだろうなと思います。
正確に測る人、何となくで作る人。
自分では2ミリってこれくらいだと思っていたけど分厚すぎた!とか。
単純にスキルの話しもあると思います。

なんで同じにならないのか。
それはひとりひとりの暗黙知が掛け算されているからなんじゃないかな。
と思っています。

その時その時で状況は変わり続けます。
似たような瞬間はあっても、まったく同じ瞬間は二度ときません。
その状況に対応するため、”知”は常に流動的であり、
イマココで人と人との相互作用によって創り出されていきます

変わり続ける世界に、SECIを

完璧な形式知、なんてない

有用な形式知はたくさんあります。
我々は今ある形式知を使って便利に暮らしています。
お陰さまで仕事も効率よく出来ています。
しかしながら、今ある形式知は、必ず古くなります。
正しいけれど、そのままじゃ使えない”知”がたくさんあります。
SECIモデルにおける”知”は、
こうした固定的な情報を指すのではありません。

暗黙知の役割

そこに光を当てるのが、我々ひとりひとりが持っている暗黙知です。
こんな経験をした、こんなことを感じた
だからもっとこうしたらどうだろう??

そうして”知”と”知”が繋がって、今ここで新しい”知”が生み出されていく
”知”とは、我々の経験、価値観、状況、文脈などが入り混じって、
絶えず変化する流動的なもの。
だからこそ、生きている”知”は非常に暗黙的で捉えにくい。
職人さんの感覚だったり、流れを読む力だったり、
たくさんの経験に裏打ちされた直感だったり。
それを、共体験して、言葉にして、取り入れて、やってみるという
SECIスパイラルモデルに乗せて実践を重ねることで、
新たな形式知が生まれ、豊かな暗黙知を形成していく。

変わり続ける世界に、SECIを回し新たな”知”を生み出し続けることで、
企業が、社会が、世界が発展し続けていくのではないでしょうか。

つまり”知”ってなんだ?!

あなたがよりよい未来を実現するために、
あーでもない、こーでもない
こうじゃないか?あぁじゃないか?
と考えること。
それが”知”の源泉だと思います。
そして考えたことを実践していくことが、
”知”(イマココで使える、役に立つ”知”)を生み出します。

”知”はあなたの中に既にあるもの。
そしてこれからも生み出し続けるもの。

さて、あなたが”知”ってなに?と問われたら
どんな風に答えますか?

あとがき

今回、こちらのサイトを大いに参考にさせていただきました。
ありがとうございます。

SECIモデルについて大変分かりやすく丁寧にまとめられているので、
ご興味ある方は是非見てみてください!

そしてSECI体感ラボは、これらの内容を”体感”することで
実践知化することを主軸にビジネスを展開していきます!
乞うご期待!
SECI体感ワークショップは
2023年9月7日(木)開催です!

最後まで読んでくださってありがとうございました!
(担当:大久保)

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