見出し画像

【研磨屋さんの豆知識】バフって何ですか?


#KENMAYA です。

度々わたしたちの動画にも登場する「バフ」という単語。
ゲーム好きの方であれば、「バフ」と聞くと味方にかけることのできる補助効果や強化魔法といったイメージがあると思いますが、研磨業界では「バフ」というものは、布製またはその他の材料で造られたリング状のモップのようなモノのことを総称して「バフ」と呼びます。

画像1

元々は「羽布」(はふ)という飛行機の翼等に用いられていた軽くて耐久性のある布地が語源となっておりますが、いつから「バフ」と呼ばれるようになったのかは、わたしにも分かりません。

画像2

バフに用いられる布地は綿(コットン)を主体に、キャラコ(ベッドシーツ、古着)、麻(サイザル麻)などが用いられ、布以外ですと、動物の毛を固めたフェルト、セーム革を円形にした革バフ、厚いボール紙を円形にしたボールバフ、サンドペーパー(紙やすり)を研磨軸に巻きつけたペーパーポイント’(ベルトサンダー)、針金を植え込んだスクラッチブラシ、最近ですとゴム製やシリコン製などのバフもあります。


このようにバフには様々な種類があり、用途も貴金属の表面研磨、非鉄金属の表面研磨、溶接痕の除去、金属切断面のバリ取り、木工製品の仕上げ、ガラス加工、など様々な製造工程のシーンで使われており、実はわたしたちの身の回りのものの多くが研磨工程を経ています。

またその様々な用途に応じて、バフ自体の種類の選択はもちろん、バフの織り方やバフ自体に研磨剤が浸透してあったりと、さらに細かく細分化されています。

画像3

鉄鋼材やアルミの板材のような大量生産前提のものはバフを幾重にも重ねた「ドネルケバブ」状の巨大なバフ軸によって流れ作業で半自動研磨をしますが、ひとつずつ形状が異なるような金属製品や、複雑な形状をしたもの、希少価値の高い貴金属や宝石は今でも熟練した職人の手によって手作業で研磨がされています。

わたしたちKENMAYAが扱う商品は、(電動工具や機械などを使わずに)家庭でも簡単に使える液状研磨剤をメインに販売していますが、もちろんこういったバフレースと呼ばれる機械やルーター(リューターとも)と呼ばれる小型の回転工具にも取り付けられるバフ用の固形研磨剤も扱っており、定期的に購入頂いている企業様もいらっしゃいます。


「バフ」とは少し離れますが、「回転体に対してモノを押し付ける」という行為自体を研磨、もしくは切削と呼ぶ人も多く、単純なボール盤による穴あけ、ベンチレースやフライス盤などでの旋盤加工やマシニングセンタ(コンピュータ制御のフライス盤)といった工作機械でも広義の意味では研磨です。

画像4

近年ではマシニングセンタをはじめとした、工場のオートメーション化が進められており、旋盤工と呼ばれた職人は姿を消しつつあります。
研磨職人もいずれ全てがプログラム化、ロボット化される日も来るでしょうが、表面の光沢感や仕上がりが職人の微妙な匙加減によって大きく変わってくる工程ですので、機械学習も容易ではないだろうな、と推測しています。


しかし、こういった研磨業界にも大きな悩みの種というものがあります。

そのひとつが「粉塵問題」です。
研磨をすることによって発生する削りカス、バフカス、金属やガラスの微粒子である「研磨フューム」は長期に渡って吸入すると「じん肺」と呼ばれる呼吸器系疾患を発症する可能性があり、防塵マスクが必要とされています。

集塵装置などで極力粉塵の回収をしていても、空気中に飛散したミストレベルまでの回収は現状ほぼ不可能であり、これを解決するのは非常に困難を極めます。

もうひとつが「発火の危険性」です。
研磨とはモノとモノを擦り合わせて削り取るという特性から、摩擦熱が発生します。例え熱伝導率の低い金属であっても、高出力のグラインダーに金属が触れれば火花が散ります。
またバフのほとんどは布製であり、研磨を続けることで糸くずが発生し、摩擦熱による自然発火の危険性も多くあります。


自動化するにもこういった諸問題の障壁があり、製造工程において研磨がボトルネックになる場合が往々にしてあるのが現状です。
しかし裏を返せば、未解決の諸問題を考えるいい機会でもあり、全く新しい研磨方法を編みだす絶好のチャンスでもあります。

皆さんが「バフ」と研磨について少しでも知るきっかけになってもらえればと思い書きました。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
よければお気軽にシェア、コメント等していってください。

Twitter、YouTubeもやってます。
🔽Twitter(フォロバ100%)
https://twitter.com/sechica1

🔽YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCeAh6Y8B3DwKRqChlCgnwpA

38.ジッポライター光沢磨き2(サムネ2)


サポートは不要です