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内発的動機をさがす:対話をアップグレードする③

内発的動機をさがす。この作業は私にとって素晴らしい経験になりました。「自分を突き動かしている大切なもの」を見つけるとそれだけでとても良い気分になります。

この記事では、内発的動機について考えます。

<目次>
1.内発的動機とは何か
2.外発的動機との混同を整理する
3.内発的動機を見つける
4.内発的動機を見つけるとどんな感じがするか
5.まとめ

1.内発的動機とは何か

内発的動機とは、自らを突き動かすような動機のことを指します。金銭や名声、損得といった外的なメリットを中心とした動機ではなく、自ら湧き出る動機のことです。

例えば、「仕事を頑張ってお金を稼ぎたい」と言うとき、「お金を稼ぎたい」「お金が欲しい」というのは外的なものです。そうではなくて「仕事を通じて自分の可能性を開いていくことに生きがいを感じる」というのが内発的動機にあたります。

もう少し続けると、
なぜ野球をするのか? → 好きだから
なぜサッカーをするのか? → 好きだから
なぜテニスをするのか? → 好きだから

つまり、よりシンプルに言えば、ただ好きだからそうするということです。

2.外発的動機との混同を整理する

さて、ここで問題を出したいと思います。下の発言のうち、内発的動機にもとづいた発言はどれでしょうか。

①「子どものことが好きだから一緒にいたい」
②「子どもにとって親の不在は悪影響だから一緒にいたい」
③「子どもを育てることは親の義務だから一緒にいたい」
④「子の貧困は数世代にわたって連鎖する。子を貧困に陥らせないためには親が稼ぎ同居する必要がある。だから親は一緒にいるべきだ」

答えは、①です。ほかの3つは外発的動機にもとづいています。
②は正しさ、③は義務感、④は客観的事実にもとづいた発言です。

3.内発的動機を見つける

では、自分の内発的動機をさがすにはどうしたらよいでしょうか。

力技です。まず、内的であるか外的であるかは一切考えずに、自分が注力していることを行う理由を10個以上書き出します。

次に、それらを内的動機と外的動機に分けます。この時、内的動機よりに判断しがちなので注意します。

内的動機の中から心に響くものを選び、より響く表現を検討します。
これで終了です。

4.内発的動機を見つけるとどんな感じがするか

私自身の経験から言うと、本当は素直な気持ちから始めたことがいつの間にかお金のためにという認識でやっていたり、最初からお金のためで別に好きでもなんでもなかったりということがわかりました。
これがわかるだけで、実に良い気分になります。

加えて、自分の内発的動機を用いて他人を説得している時のことを考えると、社会正義や客観的事実にもとづいたアプローチよりもずっと言いやすく感じます。

例えば、自分が子どもだったとして、親に一人暮らしをしたいと言った時、親から、
「子どものことが好きだから一緒にいたい」と言われるのと「子どもを育てることは親の義務だから一緒にいたい」と言われるのとでは、感じ方はどう違うでしょうか。

子どもとしてはどう言われてもうっとうしいかもしれませんが、義務感に基づいた発言よりも、「好きだから」という素直な感情に基づいた発言の方が心に響くはずです。

5.まとめ

行き詰ってしまった会話を変える時のキーワードは「内発的動機」。すなわち、「好きだからそうする」。これをさがします。

「私の好きだからそうする気持ちはどこいった?」

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