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河口湖/富士吉田放浪記(4/15)

以前、富士吉田の友人が東京に遊びにきた時、何故か私は「赤ヘル」と書かれたキャップを右手に握りしめていた。そんな私は本日、心の故郷・富士吉田を訪ねたのだが、何故かカープ坊やソックスをこれまた右手に握りしめていた。
「世武さんっていつもカープグッズを握りしめてるんですか?」と彼女に指摘されるまで気づかなかった完全に無意識下での行為である。

何故ソックスを握りしめていたのか(洗濯して綺麗な状態ですよ!)真相はさっぱり分からないが、広島と富士吉田(と河口湖)が繋がっているような気がして感無量になり、内臓がそれぞれ数mmばかり持ち上がったのを感じた。私にとってとても重要なふたつの故郷(ふるさと)である。

富士吉田市に移住した頃、東京の仕事で稼いで優雅に田舎暮らしをしている余所者ぽくなるのが嫌で、地元でバイトをしよう!と決めた。そんなわけで大好きなスーパーいちやまでレジ打ちをするか、仏壇屋さんで仏壇を売るかの二択に迫られたわけだ(自分に自分が迫っただけだが)。

結局、仏壇屋さんに決めたのだが、その時の先輩とは未だにちょこちょこ連絡を取り合っている。今日は懐かしの不曹庵に行きたいとリクエストを出して、食べ応え満載のフルーツあんみつを頂いた。

アイスは抹茶とバニラから選べる

先輩の積もる話を色々と聞きながら、忘却していた様々な登場人物の顔と記憶がむくむくと魔法のランプから出てくるように立ち上がる。
「⚪︎⚪︎ら〜!」という山梨の方言が出てくるたびに、可愛いなぁと思って微笑ましくなる。

その後は、これまた私のリクエストで大好きな八木崎公園を散歩した。すっかり忘れていた桜満開シーズンの到来で、富士山と桜の組み合わせは殆ど絵葉書だった。
"これぞJAPAN!"を満喫しつつ、私はやっぱり、富士山を背にして河口湖を見つめた時、湖に反射する光と、そのゆらめきを見下ろすように重なる山々が好きなのだった。誰もが思わずカメラを向けてしまうラスボス的富士山に背を向けて、なお、こんな絶景と静かに向き合えることこそ真の豊かさだと、ここへ来ると迷いや邪念が浄化されていって良い。自然の前に我々はちっぽけだ。

だいたいの桜花見スポットは、花弁よりも見物客の方が多いけれど、ここはぽつりぽつりとまばらに人がいるだけ。こんな贅沢は、大金を積んで手に入れる如何なる高価なものより充足感を与えてくれる。

こうなってくると河口湖や富士吉田の何もかもが恋しくなってしまって、私が生まれて初めて(一括現金払いで!)買った家にも渡仏の報告をしに寄った。前の持ち主さんとも未だ交流があるが、なんとなく"私たちの河口湖の家"というファミリー感がある。

「あの家とか良いやん!あれ、売りに出してくれへんかな」と友人にめちゃくちゃ言っていた家が数日後売りに出されていると知らされ、すぐに観に行って即決して購入した家だ。ご縁というのは面白い。

私は基本的に誰かが与えたことや決めたことをなぞることが好きではなくて、自分が自分の意志と責任で選択することをとても重要視して生きている。
家だって、仕事だって、友人だって、自分の愛情と情熱と責任で選びたいのだ。何故なら、生まれてくることは選べなかったから。

選ぶことのできる社会を、とても有り難く思う。

さて、夜は、富士吉田の友人チャンレイとタベルナへ。
私たちのお気に入りのイタリアンレストランだ。
お店が閉まるくらいまで居座り、腹十二分目くらいまで食べながら「カロリーが少ないデザート」とか「痩せたい」などと宣うのだった。

チャンレイから、やっぱり車は売ってからパリに行った方が良いんじゃないか?というところで、具体的な作戦を披露してもらった。彼女の好きなところのひとつに具体性がある。
なんだか腑に落ちたので、一度は売りたくない!と思って胸が引きちぎられそうになっていたシトロエンちゃんを、やはり売ろうかなと思うに至る。明日、富士吉田を離れる前に査定に寄っていこうかしら。

午前中は、私が運転初心者だった時に散々駐車の練習をした綿半(ホームセンター)に段ボールを購入しにいく予定だ。綿半の駐車場の巨大さが好きだ。

将来、広島のマンションに住むことになったら、河口湖か富士吉田には小さな別宅を作りたいなぁ。そんなことを考えながら過ごした。えらく稼ぐ未来を無根拠に想像していて、自分の呑気さと陽気さに笑える。

シトロエンちゃんと桜と湖を見ながらフルーツあんみつ
素敵な隠れ家なようなお店
お座敷席もいいですね
この景色が本当に大好き!
大好き!
3匹の子犬
何故か握りしめてたサムシング
自宅から見える富士山が一番!
イタリアンなのに気づいたら焼きそばになってた
富士山駅、本当にお世話になりました
結局最後までカープ靴下 離さず(笑)

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