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【読書感想文】線は、僕を描く(砥上裕將さん著)

※ネタバレあり

出会い、概要、大まかな感想

映画を見て感動し、原作本も読んでみたい!と購入し、長らく積読してから読んだ本。

水墨画の世界のお話。
設営のアルバイトでたまたま千瑛(※1)の作品『椿』を見て、思いがけず涙を流した主人公青山霜介。
これが、青山くんと水墨画の出会い。
そこから、水墨画の世界での彼の物語が始まる。

言葉や文章だけでも絵が頭に浮かんでくる言葉選び、文章のセンス。
脱帽。

映画も、この本も、大好きな作品になった。

感想(内容面)

水墨画は、自分の心と向き合うことが必要で、生き方そのものが作品にあらわれる嘘のつけない世界。
ストイックでかっこいい。

湖山先生(※2)の言葉は、ときどき刺さるものがあった。

青山くんの真っすぐさは、本人には自覚がないけれど実はなかなか真似できない強みだと思う。

千瑛の一つのことにずっと真摯に向き合ってきた芯のある生き方は、人としてかっこいい。

西濱さん(※3)の、実力者でありながら親しみやすい性格という人柄も素敵。

登場人物みんなが魅力的だった。

青山くんが水墨画に出会えて、千瑛も青山くんに出会えて、良かった。

感想(考えたこと)

この作品を通じて、一つのことに深く向き合い続ける生き方のかっこよさと、そんな生き方をする人の言葉の重みを強く感じた。

水墨画の世界の魅力に加えて、何かに真剣に取り組むことの素晴らしさと、周囲の人との関わりを通して内面的に成長できることの愛おしさを知った。

そして、自分にとって熱量を持って努力し続けられることって何だろうと考えさせられた。

また、日常生活の中で、周囲の人たちと高め合えるような関係性になれたら素敵だなと思った。

〈印象に残っている文章〉

命とはつまるところ、変化し続けるこの瞬間のことなのだ。

p.365

※1 千瑛
篠田千瑛
篠田湖山(※2)の孫にして弟子の水墨画家。
花弁画が得意。

※2 湖山先生
篠田湖山
日本を代表する水墨画の巨匠。

※3 西濱さん
西濱湖峰
篠田門下の二番手。
力強い風景画を描く。

表紙 映画ver

p.s. 映画の主題歌について

yamaさんのLostという曲。
世界観にぴったりで、苦しくて切なくて綺麗で、とっても素敵。

(2024年5月現在、各種ストリーミングサービスにて再生可能です)

〈映画予告映像〉

(映画は、2024年5月現在、Netflix、Huluにて視聴可能です)


本、映画ともに、心のど真ん中にずどーんと響く作品を求めている方に、自信を持っておすすめします!

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