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独立出店と厳しい現実

前回からの続きになります。

自分が経験してきたことで、成功体験なんかは今のところあまり書く気にならないのですが、あえて失敗談を伝えたい気持ちがあります。

とにかく自分と同じような失敗をして欲しくないんですよね。そんな想いで書いているこの記事が、誰かのお役に立てれば嬉しいです。

前回の記事↓

独立出店までの苦難

今思えば、我ながら信じられないのですが、独立を思い立った時の自己資金があまり無かったんです。早く独立したい!、今がそのタイミングだ!と、全く根拠のない自信だけは不思議とあったんですよね。まさに勢いだけ。本当にお恥ずかしい話です。

以前、 Twitterでも投稿しましたが、これは本当に要注意です。成功者の経験談ってあるけど、無条件で自分にも同じ事ができる訳がないんですよね。自分に当てはめて冷静になりましょう。特に資金的なことは堅実に考えるべきです。

難航した物件探し

表参道〜青山エリアに決めてましたが、やはり家賃が高い。なかなか手頃な価格で空いてるテナントが見つかりませんでした。

暇さえあれば歩き回って探し続けたある日、建設中の新築の物件が目に止まり、入居者募集情報をみた私は迷わず速攻で電話をしました。しかし既に申込あり。この頃はホントに物凄い速さで美容室出店希望者がテナントを取り合っている時代でした。

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それでもキャンセル待ち2番目という状況で可能性はあったので、順番がまわってくることを祈りながら待機することに。家賃は予算オーバーでしたが、もう覚悟は決めてました。ただ、これも今思えば、やはり設定した家賃のボーダーラインを越えてはいけませんね…。

その後、先約(これも美容室)の辞退で私に連絡が入り、テナントのオーナー様と、物件のデザインを担当した建築家の北川原温氏との面談がありました。結果としては無事に契約する事ができました。

甘かった資金計画

事業計画書を作成して金融公庫の面談を受けましたが、やはり自己資金不足が致命的で融資が下りませんでした。

テナントの保証金が家賃の10ヶ月分でしたから、なんとかしなければと親に頼み込んで借金。内装工事に関しては、店舗設備クレジットを利用するしかなく、高金利でしたが渋々契約。あらゆる面で ”ギリギリ” の状態でしたが、なんとか間に合わせました。

そんなこんなで、ようやく自分のお店を持つことができたのです。

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こうして振り返ってみても、いかに自分の考えが甘かったか…。本当に恥ずかしい限りですが、今の時代であればシェアサロン面貸しなど、フリーランス美容師として独立しやすい環境が多くありますので、慎重に考えて頂きたいですね。

激戦区で戦う個人店のもろさ

そんなこんなで、”自分の城”を構えることができました。スタッフの入れ替わりはありましたが、なんとか順調にやってこれました。

ただ、激戦区の中で競争が激しくなっていき、経営に対する私自身の未熟さが原因でもあるのですが、次第に資金繰りが悪化していき、8年半で限界を感じてしまいました。様々な選択肢を考えましたが、スタッフとお客様を引き継いでもらう事を条件にサロンを譲渡することになったのです。

プレイヤーとしての自分にこだわり過ぎたのも要因のひとつだと後悔してますが、表参道〜青山での17年間は、失敗も含めて私の貴重な財産となっています。