目指したいエッセイについて #日記
2024/9/25
くどうれいんさん著「桃を煮るひと」(ミシマ社)をたったいま読了した。先日盛岡で購入し、仙台からの帰り道で早速読み終えた彼女のデビュー作「わたしを空腹にしないほうがいい」(BOOKNERD)に引き続き、僕にとっては2作目だ。
ちょうど一年ほど前、くどうれいんさんの直接のお知り合いの方が開く読書会に参加し、そのとき主催者から購入したものだ。盛岡が好きすぎてプライベートでよく関東から盛岡を往復しているという主催者の彼の話を聞いていると、こちらまで盛岡に行きたくなってしまった。そしてついに、先日瓶ウニを拝みに行くためだけに盛岡に行ったのである。
”くどうれいん”という名前をはじめて聞いた僕は、その名前の印象からイケオジを想像していたのだが、いざinstagramでアカウントを覗いてみたら、少女のような笑顔が素敵な女性の写真が出てくるではないか。想像とのあまりのギャップに勝手に驚かされた。
僕はもともと小説しか読まない人だったので、エッセイと聞くとなかなか手が出せずにいた。しかし、何百ページもある長編小説を何冊も読む体力も集中力も持ち合わせていないので、休憩がてらエッセイを読むようになった。
くどうれいんさんのエッセイは、ショートショートのような形の短編集になっている。数行で終わるものから、5ページくらいのエッセイが集まっているので、自分のペースで読み進めることができるのが僕が気に入っているところ。
日々noteに文章を投稿するうえで、くどうれいんさんのエッセイはいつも参考にさせてもらっている。彼女の料理に関する知識と、豊かな語彙、そして読者を飽きさせない文章構成に毎度惚れ惚れする。何気ない日々をフフッと笑えるエピソードに替えてしまうのだ。
もちろん愉快な話ばかりではなく、エッセイの中には彼女の仕事や人間関係にまつわる色々な苦悩が含まれている。ただそれらの事実を羅列するだけでは読み手のこちらも憂鬱になってしまうところを、彼女は料理やいろんな人間関係を通して前向きに乗り切っていくのである。
短いエッセイの中にも起承転結があり、喜怒哀楽がある。彼女の感情をそのまま体験しているような臨場感ある読書体験につい夢中になってしまうのだ。そこに、彼女のプロたる所以があるのだろう。
いつか一緒にご飯を食べてみたい。彼女の人生の中の登場人物になってみたい。そんな気分にさせてくれるくどうれいんさんに、僕はいつのまにかすっかりファンになってしまったようだ。
また盛岡に行きたいなあと思う深夜4時。
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