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戦場の隣の村クハァナツァク

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アルメニアとアゼルバイジャン、戦争状態に在る両国のの国境に3方に囲まれたアルメニアの村。人々は日々アゼルバイジャン軍から銃撃に怯えて暮らしていた。
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世界に見捨てられた涙〜最果ての村での誓い〜 ナゴルノ=カラバフ難民100人取材

その最果ての村で銃撃に怯え、故郷も家を追われ、涙を流していた彼女との誓いを俺は忘れない。その優しいお母さんの流した涙と彼女との誓い、その誓いだけは忘れてはならないのだ。 アルメニアとアゼルバイジャンという2カ国の戦争の最前線に最も近い村クハァナツァク。その村に続く道には広大な美しい丘が広がっている。最前線という言葉から思い浮かぶのは荒野や荒れ果てた廃墟だが、その最前線への道はイメージと真逆のとても美しい道であった。 そんな美しい道の途中にアルメニア 国旗が掲げられた、

元兵士の世界への問い〜戦争の勝者は誰か?〜 ナゴルノ・カラバフ紛争難民100人取材

”戦争が怖いわけじゃねえ。ただ誰が勝者か誰が敗者か知りたいねえ。誰にもわからねえからよ。30年も戦ってる。だけどよ、誰にもわからねえんだ。わからないまま戦ってる。とにかく決着を知りたいね。”元兵士の男性は飄々とそう語った。 、、、そりゃそうだろう、、30年も戦って、、人々は苦しんで、、、なんのために、、、勝利も敗北もないまま、、。ある人は家族を亡くし、ある人は故郷を奪われたというのに。未来はもちろんのこと、誰が勝者か、誰が敗者か、それすらも誰にもわからないのだ。それでも

敵軍からの銃撃が普通、そんな残酷な世界で美しく生きる人々 ナゴルノ・カラバフ難民100人取材

メリカシャン村に住んでいた女性は”夫は戦争に行き亡くなった。子供は先に避難しており、私は一人で村にいたわ。”そう絶望感に満ちた表情で語った。 今現在彼女には、、、、、、もう戻るべき暖かい故郷も、守ってくれる夫もいない。絶望しかない状況。それでも、進むしかない。帰る場所はもう無いのだ。彼女はそんな覚悟を決めた強い人だった。そんな強い難民の人に何人かこの取材で出会った。彼らはとてもかっこよく、美しく見えた。でも、そんな絶望に打ちのめされた人々にそんな悲しい覚悟を強いるこの世界は

自分の家を燃やした男性の場合 ナゴルノ・カラバフ難民100人取材

”平和にはならないさ。平和は何よりもと素晴らしいものだ。私だって平和を望んでるさ、、、だが、無理だろうな、、、、。”自分の家を焼き、家畜をアゼルバイジャン軍に奪われたその老人はため息混じりにそう語っていた。 戦争状態にあるアルメニアとアゼルバイジャン国境に3方囲まれた、アルメニアの国境沿いに在るクハァナツァク村。4日前(取材当時2021年11月20日)11月16日アゼルバイジャン軍によりクハァナツァク村に70〜80発の銃撃が行われた。それだけでなない、ここに住む村人たち

11月16日その村へ、7〜80回にわたる銃撃が行われた

その日、アルメニアのクハァナツァク村にアゼルバイジャン軍から7〜80発の銃撃が行われた。 アルメニアとアゼルバイジャンという2カ国の戦争の最前線に最も近い村クハァナツァク。その村に続く道には広大な美しい丘が広がっている。最前線という言葉から思い浮かぶのは荒野や荒れ果てた廃墟だが、その最前線への道はイメージと真逆のとても美しい道であった。しかし、この美しい道で立ち止まり写真を撮ることなどできない。 クハァナツァク村へ続く道路から見える壮大な景色 運転手のアルメニア人はクハ