特性ある子どもの適切な進路とは

小学校からずっと通常級で過ごしてきたAさん。
英語が好きで中3の1学期末も英語「3」。
でも、学校から特別支援学校への進学をすすめられ
ました。理由は発達検査が「68」だから。
結局、それに従うということで私の塾を辞めました。

Aさんの「68」というのは軽度知的障害で療育手帳
を取得していますので、その発達特性を持った多くの
子どもが特別支援学級に在籍しており、卒業後の
進路は特別支援学校高等部の人が多いと思います。

しかし、私の塾では、発達検査が70前後の子が
受験が必要な高校への進学の可能性にむけて
多くの子どもたちが学んでいます。

Aさんもご家族も、受験が必要な高校への進学の
可能性にかけて小学生の時からずっと取り組まれて
いました。そんな中6年生の時にうちの塾で勉強を
始めるようになりました。

当時を振り返ると、通常級での授業についていく
ことが大変そうだと感じたので、私の方から、
一旦、発達クラスで過ごしてはどうかと促した
というような状況でした。

特に課題だったのが実技教科でした。
手先が不器用だということと見よう見まねを
するということが苦手だったこと、ワーキングメモリ
の低さからくるその場で聞いた説明をきちんと
覚えきれなかったことが要因でした。

その一方で、学習面は得意とは言い切れない
ものの、確実な積み上げができそうな手ごたえが
感じられました。

Aさんにとっては手に職を身に付けるものより
あらかじめ文字として情報を与えられたものを
覚え、習得してから取り組んでいくということ
の方が向いていると感じられたので、高校や
その先の学校へ進学していく方が、将来、
Aさんの能力を活かすことができやすいのでは
ないかと感じました。

実際、中学校に入ってからも、国語や算数も
最下位ではなく、英語は当初から3単Sが
理解できるなど、光る良さがありました。

諦めずに頑張り続けることができれば希望する
高校への進学が可能ではないかと思っていました。
ところが、中2の2学期に異変が起こりました。
クラス内でうまく集団に溶け込めなくなりました。
その時、学校は特別支援学級で過ごすという
方法で対応をしました。そこでは安心して
過ごすことができていたそうです。

3学期に入ってから保護者が面談がありました。
その時学校からは
「Aさんは、支援の方が安心
して過ごすことができているので3年生に
なったらそちらへ異動することをすすめます」
「療育手帳を持っており、発達特性がある
Aさんの将来のことを考えると支援が手厚い
特別支援学校高等部への進学がよい」
「3年になると授業内容が難しくなり
ついていくことができないですし、普通の高校は
絶対に無理です」

お父さんは反論しました。「うちのAより成績の
低い子が20人ほどいるじゃないですか。
その子たちも全員、特別支援学級ということ
ですか」と。

学校は「彼らは真面目に勉強していないだけで、
授業についていくだけの能力はあります」と反論
されただけではなく、各教科の担当の先生から
いかに能力が低く、授業についていくことが
大変なのかという報告書まで添えられていました。

それ以降、学校と話し合う気力を
お父さんもお母さんも失ってしまいました。

文部科学省が示す特別支援教育には
次のように書かれています。
「特別支援教育」とは、・・・
一人一人の教育的ニーズを把握し、・・・
適切な指導及び必要な支援を行うものである。

夏期講習期間中。本当だったら今日も座っている
はずだったAさんの隣の席にはAさんよりも発達検査
が低いBさんが、中堅の県立高校受験に向けて
勉強しています。

おなじ市内の中学生でも
学校によってこれほどまでも違う対応。
将来のことはだれが決めるんですか。
その結果に責任を負う人であるべきです。
こんなことがまかり通っていること、異常です。

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