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大企業出身の二人が語る 地方で市場価値を高めるキャリアの歩み方とは?

新卒でどこに入社するかという問題は就活生がよく悩むことだと思います。昔とは違い、情報をどこにいても得ることができるようになった今、キャリアを考えるうえで大切なことは何なのでしょうか。
今回は、新卒で大手企業に入り、現在は石巻の水産業の最前線で活躍しているお二人に登壇してもらい、大企業と地方の中小企業の違いや、キャリアの考え方についてお話しいただきました。

12月22日に開催されたオンラインイベント「最前線で活躍する経営者と若手社会人から水産業で働くリアルを聞こう!」の第一部、「石巻の水産業で挑戦できること」の様子をお伝えします。

登壇者はFISHERMAN JAPANの松本裕也さんと株式会社布施商店の布施太一さんです。

松本裕也
ヤフー株式会社 「Yahoo!ボランティア」プロジェクトマネージャー
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン 事務局次長/一般財団法人まちと人と 理事
 
1985年生まれ。学生時代は地域活性やボランティアの活動に励む。新卒でヤフー株式会社に入社。石巻で復興支援を行う部署への異動に伴い、家族とともに石巻に転勤し、日本の水産業を「カッコよくて、稼げて、革新的」な新3K産業に変えるべく、Yahoo!と東北の若手漁師とで立ち上げた「フィッシャーマン・ジャパン」の事務局として活動。地元水産加工業者を中心に20社100名超の実践型インターンプログラムのコーディネートや、お金ではなく地域自慢の魚で報酬を支払う副業・兼業サービス「GYOSOMON」をプロデュース。若手経営者とともに、水産業をアップデートすべく奔走中。

布施太一
株式会社布施商店 代表取締役社長

2007年に大学を卒業後、大手総合商社に勤務し食品流通関係の業務に従事。2011年東日本大震災が起こり、地元である石巻に戻ることを決意。2018年に実家の家業である株式会社布施商店に転職し、2021年に代表取締役に就任した。 2021年7月より、世の中に海や魚について興味を持っていただくための施策としてYoutubeでの活動( 「仲買人、タイチ」チャンネル)を開始した。趣味は、サーフィンとゴルフで、好きな魚は真鱈(マダラ)。

大企業と地方の中小企業の違いとは?

松本:今回のイベントはこれから「働く」ことを考える人たちが多く見てくれていると思います。僕も布施さんも大企業で働いた経験もありながら、現在地域で働いていますよね。まずは、大企業での働き方はどのようなものでしたか?

布施:三井物産に入社して一年目は社会人としての勉強や雑用が多かったですが、2年目になると仕事を任されるようになってきました。そこで扱う案件というのは100億や300億などとても金額が大きく、そのプロジェクトの一構成員として働いていました。大きなエンジンの小さな歯車という感じではありましたが、自分が100億の仕事を動かしているんだと、満足感を感じていました。

松本:現在は地方の中小企業で働かれていますが、大手の働き方と比較して、どのようなところに違いがありますか?

布施:単純に比較することは難しいですが、地方の中小企業は経営者・決済者との距離がとても近いです。だからこそスピード感をもって取り組まなければならないし、小さなエンジンだけど大きな歯車として手触り感のある仕事に取り組めます

松本:私もヤフーとして石巻に来ましたが、まさに同じようなことを感じています。地域で働いていくと自分自身が動くことによって得られる反応が明確に分かるのが面白いですね。失敗も含めて反応が明確だからこそ、ここがこうなるとかここをこうしようというものを日々考えられます。

松本:また大手では、大きな数字の中の小さな数字しか扱うことができないと感じます。100万ページビューで何億円の売り上げができると言われても自分が貢献できているのかよくわからないとなってしまいます。

布施:それはとても感じますね。大企業の仕事は、自分が仕事を作っている感覚は味わえないですね。規模感も含めて、1人で勝ち取れる仕事ではないし、会社の流れの中で、仕事が出来上がっていく感じなので、自分がプロジェクトを立ち上げるということもなかったです。

松本:ある意味僕たちも受験・就活して、大企業に入れるチケットを手に入れたわけですよね。そして自分の能力が高かれ低かれやれそうなところに行って、結果楽しく仕事ができました。しかし、果たしてこれは自分がやりたいことなのかと感じる部分もあったんですよね。それがあったからこそ自分自身が動くことによって得られる反応が明確な今の石巻の仕事がとても楽しく思えます。

布施:僕は前の仕事もめっちゃ楽しかったし、今もめっちゃ楽しいですね。
今の企業でも担当者一人が動いたらこういう案件ができる、新しい仕事が始まるというのは全然あります。最近、うちの会社で輸出をやりましょうとなったのですが、自分が仕事をたくさん抱えていて、手が回らなかったんですよね。そこで1人の社員が手をあげてくれてその人がやりはじめたらすごく進んで、2か月くらいでアメリカにサンプルを出すことが出来ました。1人が動いたら、そういうのができちゃうというのが、中小企業の面白さだと思います。

地方で働くことをキャリアパスの一つと考える

松本:新卒が就職先を考える際に、新卒チケットをどこに使うかというのはよく話し合われると思います。地方に新卒チケットを使うことは良いことも悪いこともあると思いますが、布施さん自身はどう思いますか?

布施:地方に新卒で就職することは昔に比べてハードルが下がっていると思います。昔は地方は隔離されているイメージがありましたが、今はwebですぐつながれる世界ですし、しようと思えば副業もできる。その人次第で、色んな世界観を学ぶこともできますよね。やり方次第ではあると思いますが、逆に大企業の画一された教育プログラムで本当に生きていけるのかと思う部分はありますね。

松本:それでいうと、日本の終身雇用はもう壊れていますもんね。その上で、キャリアをどうするかを考えると、どれだけ自分で何かをつくれるような経験をしたのかというのがとても大事になってきそうです。

布施:うちの企業で働くことをキャリアパスの一つと考えてくれてもかまわないんですよ。地方の中小企業で一翼を担うっていうことをキャリアの一つとして掲げても良い時代なんだろうなと思っています。なので自分のところに終身雇用してくれとは言わないですし、3年とか5年で次のステップに進むこともできると思います。

松本:そういう意味で、キャリアステップとしてトライ&エラーを早めにしておくことは大切だろうなと思います。転職市場を考えると、35歳くらいを過ぎて大企業での経験しかないとなると市場価値がないと見られます。それまでにどれだけ語れるキャリアを作るかが重要になりますよね。

石巻の水産業は上がるしかない

松本:今の環境などを含めて、今の石巻ではどんなことに挑戦できるとお考えですか?

布施:まず、今の大学生が思っているほど、地方の社会とか経済って進んでないんです。まだ僕らはFAX使ってますからね(笑)そういう社会の中で、時代の最先端で生きる若者が地域に来ると、存在価値がめちゃくちゃ大きい。自分の存在価値を発揮できることが沢山あるんですよ。一昔前にタイムマシンで行って、戦うみたいな感じなので、既に活躍できる環境が整っているわけです。
しかも昔だったら、大企業が時代の最先端で、そこから情報を取らなければ遅れていくという感覚がありましたが、今はどこからでも情報を得ることができます。そうなってくると、地方に居たって最新の情報を取れるんですよね。

松本:その中で石巻だからこそのことで言うと、都会の人がいきなり地方に行って何かをしようとしても誰も応援してくれないという話を聞くことがありますが、石巻については今までやってきた積み重ねがあるのに加えて、新しいことをやっていこうよという人が沢山いるんですよね。水産業においても布施さんが帰ってきたように、他の会社も若い人たちが帰ってきて、今のままではだめだといって変わろうとしているタイミングがちょうど今です。震災10年の今が一番ホットな時期かもしれないですね。

布施:世代交代をしようとしていて、若い人たちが立ち上がろうとしている。でも魚は獲れないし、円安も進んでいる。つまりは石巻の水産業は上がるしかないし、新しいことをやるしかないんですよ。

松本:延びてるから乗ればいいだけではなくて、チャレンジを今するというのが面白いところですよね。
だからこそ、この面白い機会を若者に提供したいという想いでSeaEOを立ち上げました。難しいことにわくわくしてしまう人こそ、大手企業のわかりやすく整った環境に行くのではなく、新しいことを作っていくことに挑戦してほしいです。

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今回開催した「最前線で活躍する経営者と若手社会人から水産業で働くリアルを聞こう!」はアーカイブ配信をしております。
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