「ママ、かわいいかっこうしたら?」と息子が言った朝

育休から仕事に復帰して2年目。去年とはくらべものにならないくらい、要領がよくなってきた。
とある地方のマスコミ会社で販促の仕事をしている私。業務量は増えたが、時間内にこなせる。何事も慣れだ。「慣れ」も良し悪しだな、と気づいたことがあったので、ちょっと書き留めてみる。


働く服装と、ファッション音痴

普段、通勤はパンツスタイルが基本で、スカートをはくことはない。
ストッキングをはきたくないからというのが第一の理由で、冷えるから、が第二の理由。
仕事の行き帰りに子供の送り迎えもあり、しゃがみやすい恰好が一番だ。
紺、黒、グレーという地味界3本柱の色味のアンクルパンツやワイドパンツをそろえていて、その色に合わせてトップスを決める。トップスのルールは、派手すぎず、胸が見えない、きれいな形の服。つまり普通だ。あまり悩まなくても服装を選べるようにしている。



そもそも、大きな声では言えないが服装を考えるのがとても苦手だ。最近読んだ白石一文さんの小説に、ユニクロはそういう人のためにあると書いてあって深く納得した。でも、ここに出てくるファッションがわからない人は「アンドロイド」だ。一応言うと。



何なら、毎日制服で行きたいくらい。
私服の通学が始まった大学生のときから同じことで悩んでいたので、たぶんこの後もそうなのだろう。
そういえば大学は大阪だったので、友だちに遠慮なく「いっつもおんなじカッコしてんな」と言われたこともあった。少し傷つきはしたが、だからと言って何をどう着たらオシャレになるのかわからない。

朝はとにかく時間がないため、着替えに使える時間は5分だけ。
一回でも迷って、「なんか変!」と着たものを脱いだりすると遅刻決定だ。子どもの世話もある。
失礼がなく、清潔で、年相応(40代)のコーディネートをすることだけを気にしている。

今朝、保育園へ行く子どもの支度を終えて「ママ、着替えてくるから待っててね」と声をかけ、自分のクローゼットに向かおうとしたら、
「かわいいかっこうすればいいんじゃない」と、ふと言われた。
2歳半の息子に。
たどたどしくもはっきりと言っていた。
ちょっと考えてしまった。

「いつもかわいくない服装してると思われていた?」
「子どもから服装のダメ出しって早すぎじゃない?」
「かわいいかっこうって…スカートってこと?」

考えている間に規定の5分は過ぎていた。
悩んだあげく、シフォン素材のクリーム色のロングスカートとフレンチスリーブの白いブラウスを合わせてみた。
いつになく、ひらひら、ふわふわした格好の出来上がり。デートか合コンでも行くのかという服装だ。
若干恥ずかしいし、すそも踏んでしまう。

息子はニコニコと喜んでいた。
まだこんなに小さいのに、母親にはかわいくてきれいな服装でいてもらいたいと考えているとは驚いた。
週末などに一緒に買い物に行くときも、私がスカートをはいているとほめてくれる。


「あれ!いつもと違うね!」

「なんか珍しいねスカートって」

出社したら、いろんな同僚がびっくりしながら褒めてくれた。

しみじみと感じたことがある。
息子が生まれてからこれまで、自分のことをさんざん適当にしてきた。
ファッション音痴にもおそらく拍車がかかっているだろう。
それなりに身だしなみには気を付けていたつもりでも、息子からみるとただのベーシック母ちゃんだったかもしれない。
今日からいろいろと気を付けて、もうちょっとかわいい感じにしてみるか…。

当然、夫に同じことを言われても腹が立つだけだ。
「そんな時間あるか」
「こっちは家事で手一杯じゃ」
「そういうお前も痩せろ」
と、どんどん言いたいことがあふれ、目も当てられない情景になっていたと思う。
世の中の夫の皆さんは、なぜ子どもが言うとOKで、自分がいうとNGなのかよく考えてみてほしい。

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