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妖怪クーリッシュ啜り濡れ女

ほんとに毎日毎日暑すぎる。
今日は自分へのご褒美にアイスでも食べながら帰ろうと考えながら電車に揺られる夕方。


………最寄り駅に着いた。駅前のコンビニへと赴く。

アイスコーナーでカプチーノ味のクーリッシュと目が合った。
クーリッシュなら自転車に乗りながらでも食べられるだろうと、頭で考えるよりも先に手が伸びていた。


………冷たいソレを持ちながらコンビニを出る。


ん?、…………雨、……??


ボタボタと音を立てながら、大粒の雨がアスファルトを濡らしていく。


えぇー…。
合羽なんて持ってきてないよ。

さすがにアイスは家に帰ってから食べるかぁ…。


一瞬そう思った。

…だがクーリッシュの旬はほんの僅かな時間!
カチカチでは出てこない、ユルユルだと美味しさ半減。この、今まさに少しづつ溶けだした絶妙な瞬間が一番美味しい。今食べなくていつ食べるっ、!!


…自転車を漕ぎながら、そして雨に打たれながら、
クーリッシュを啜る。


クーリッシュを持つ右腕を水が伝っていく。
雨か、それとも結露か。
もう、そんなことはどうでもいい。
どっちだって水には変わりない、濡れることには変わりない。

雨にうたれながら必死でクーリッシュを啜る。


妖怪クーリッシュ啜り濡れ女の爆誕である。


途中で男子高校生とすれ違った。
視線が痛い。

夕立の中カッパも着ず傘もささず、自転車で爆走しながら必死の形相でクーリッシュを啜る女。

怖いよな。
そりゃ見るよな。

知らない人に見られるならまだ耐えられるが、
どうか、どうか知り合いに会いませんように……。




……家まであと3分ほどだというところまで来ると、
パタリと雨が止んだ。
遠くの空は既に明るい。

え、

こんなにすぐ止むなら雨宿りしていけばよかったと、後悔しても時すでに遅し。

アイスと雨で、身体の内側からも外側からも涼しくなった。


風邪引きませんように。

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