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星はまた、輝く~プロセカ体験記~

(*) 本稿はメインストーリーのネタバレを含むため、視聴後に読むことをおすすめします。


はじめに

 
 無料解放期間ということで、イッキ見しちゃいました。

 本題に入る前にプロジェクトセカイ(通称:プロセカ)の基本情報について解説します。
 プロセカは、「「初音ミク Project DIVA」シリーズを手掛けるセガと、サイバーエージェントグループで『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』の開発・運営を行なっている株式会社Craft Eggとの協業による、新作スマートフォン向けゲームプロジェクト」で、2020年9月30日にスマートフォン向けアプリが配信されました(プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク | スマホゲーム | セガ (sega.jp))。10~20代を中心に人気を集めている本作のユーザー数は、500万人(2021年7月時点)を突破しており、月間アクティブユーザー数は300万人超えというのですから、驚きです(『プロセカ』ユーザー数がこの半年で1.5~2倍に ― TikTokでバズるなどして高校生がこぞってプレイし、彼らがボカロやネット音楽に興味を持つようになる【インタビュー】 (denfaminicogamer.jp))。その規模はスマホゲームだけに留まらず、「プロジェクトセカイChampionship」という公式大会が開かれるまでになりました。
 本作はリズムゲームを楽しめる「ライブモード」と主に6つのシナリオを体験できる「ストーリーモード」に大別されます。今回はその内の1つであるLeo/need編についてバンド名の由来でもある「星」に着目しながら、振り返っていきます。

本編について

 
 メインストーリーは下記のキャラクターの関係を軸に進行していきます。

 星野一歌:本編における主人公。クールに見えて、本当は友達想いの優しい少女。教室のセカイで出会ったミクたちとの交流を通じて、本当の想いを見つけていく。
 天馬咲希:天真爛漫な性格で、ムードメーカー的な存在。中学の間は病気の療養をしていたが、高校進学と同時に復学する。
 日野森志歩:馴れ合うことを嫌う一匹狼。中学に上がってから、一歌たちとすれ違いがちになる。
 望月穂波:おっとりした性格で、包み込むような優しさの持ち主。中学時代のある出来事から一歌たちと距離を置くようになる。

公式サイトを元に作成

 本編では、小学校からの幼なじみ4人が様々なすれ違いを乗り越えて、再びバンドを結成するに至るまでの過程が描かれています。それぞれが関係修復のために奔走する姿は、まさに青春アニメの王道展開って感じですね。
 物語の中で、もう一つ重要になってくるのが、「セカイ」です。「Untitled」という無音の楽曲を再生することで、現実世界との行き来が可能になります。学校の教室に似た不思議な場所に飛ばされた4人は、そこでバーチャル・シンガーのミクと対面します。突然の状況に戸惑う一歌たちにミクはいいます。

メインストーリー 第4話より


 現実世界ではバーチャル・シンガーとして人々を魅了しているミクたちですが、ここでは想いの持ち主が“本当の想い”を見つけ出すためのサポートをしてくれます。
 プロセカをプレイするまで、リズムゲームに収録されているストーリーモードは、おまけのようなものだと思っていたのですが、本作はまるで1本のアニメーションを観ているかのようでした。
 全21話で構成されているシナリオは各エピソードの密度が高く、互いに本心を確かめ合いながら絆を取り戻していく彼女たちの姿に心を動かされました。自分が生きていく上で大切なものが、また1つ増えたような気がします。

劇中における「星」について


 全編を通して、僕が注目したのは、「星」です。メインキャラそれぞれに星や天体にまつわる言葉が入っているように、劇中では星空のシーンが随所に見られます。冒頭部分で、小学校時代の一歌たちが見上げたしし座流星群は、彼女たちの中で思い出の風景として記憶に刻まれています。

メインストーリー オープニングより

 
 星空に関してもう1つ印象的な場面があります。バンド加入をかけた志歩とのセッションを間近に控えた一歌と咲希は、ミクたちに屋上へと案内されます。上空にはいくつもの星が輝いていました。

メインストーリー 第10話より


 ルカの台詞から、他の2人も同じ想いを抱いていることが仄めかされています。星空を眺めながら、今度はみんなで星を見ようと、一歌は決意を新たにします。
 物語終盤で、その願いがようやく実現します。セカイの屋上で一歌は穂波にみんなで一緒にいたいという本当の想いを伝えます。穂波も胸の内を明かしたことで、4人は数年の時を経て、わかり合うことができたのです。
 一歌たちが戻った現実世界でも星空が広がっていました。その光は彼女たちの前途を優しく照らしているかのようでした。

おわりに


 前述したように、「Untitled」は、現実世界とセカイをつなぐ鍵のような役割を果たしています。想いの持ち主が”本当の想い”を見つけ出し、ミクたちと一緒に歌うことで想いが歌に変わり、初めて名前を持ちます(STORY | プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク (sega.jp))。
 第19話のサブタイトルにもなっている「needLe」は、一歌たちの強い想いから生まれました。4人の軌跡を想起させる歌詞と爽やかなギターサウンドが心地よい1曲です。
 ボカロPのDECO*27さんが作詞作曲を手がけた訳ですが、その表現力に大変感服しました。

 これからも彼女たちの前にはいくつもの困難が待ち受けているでしょう。でも、大丈夫。「泣くときは教えてよ」と優しく語りかけるような歌詞にもある通り、嬉しいこともつらいことも分かち合える大切な仲間がそばにいるのですから。


※ 本稿の画像は、以下の動画から使用しました。


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