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名も無き風として

たくさんのシールが貼り付けられた人たちがいる
プロフィールに並んだ、肩書、経歴、受賞歴

僕はそれを見るほどにその人が誰なのか分からなくなる
その人の中身が 裸の姿が

無名の僕の嫉妬なのかもしれない
確かにそうなのかもしれない 技術が洗練されていることは理解できる


でも僕は 既存のシステムの棚に秩序よく陳列されることに我慢がならない
品行方正な嘘をつくことに我慢がならない どうしても自分に嘘はつけない


それならばスラム街の落書きの中に位置していたい
スプレーで吹き付けられた赤字の「Fxxk you!」の隣に詩を書きたいのだ

僕は「偉い人」たちに論評されるのが嫌で仕方がない
彼らにはきっと理解できないだろう
あるいはわかったふりして 部分的には認めているふりをするだろう
本心は別にして 背後に全面的な否定と嫉妬を忍ばせて


名も無き無数の人々の、
交錯する熱情と落胆と悲鳴と軽薄さと

僕はそれらをこそ愛する

名前のつかない日常の場面たち、
偉い人がひとまとめにしてしまう、本当はどれも違っているものたち
一瞬の風にさらわれて消えてしまいそうなものたち
歴史書には残らないざわめくものたち


僕は名も無き風として


#詩 #音楽 #小説 #言葉

頂いたサポートは無駄遣いします。 修学旅行先で買って、以後ほこりをかぶっている木刀くらいのものに使いたい。でもその木刀を3年くらい経ってから夜の公園で素振りしてみたい。そしたらまた詩が生まれそうだ。 ツイッター → https://twitter.com/sdw_konoha