K所長 (三軒茶屋DTM研究所) の「古今東西・好きな音楽レビュー」

三軒茶屋DTM研究所のK所長による古今東西の音楽のミニミニレヴュー。邦楽・洋楽・広告・…

K所長 (三軒茶屋DTM研究所) の「古今東西・好きな音楽レビュー」

三軒茶屋DTM研究所のK所長による古今東西の音楽のミニミニレヴュー。邦楽・洋楽・広告・ショーなどジャンルを問わず構造的機材的な観点からグっとくるポイントを手短に列挙してプチ解説!🎶 https://twitter.com/SdlDtm

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16分音符ハイハットの痛快さ! - MSGM | Spring Summer 2018

16分音符の痛快さ!! 序盤、ベロシティの変わらないクローズハットが16分音符で連打。この潔さ! これがテクノだ。 32分音符でもない、3連符でもない!このまっすぐさ! それがとても自然に要素を混在させながら、ミニマルな方向へ。気持ちよすぎる。 気がつけばオールドスクール風なスネア、シンセベースのシンプルなリズムに取り込まれていく。更にテンポを変えながら独特なミニマルな世界を追求…するのかと思えば!また冒頭の野太い16分音符が炸裂する。 シンセベースの連打、ハイハットの無機質さ、そこに浮き上がるように服のカラフルな色合いが絶妙に重なってとてもそれを浮き立たせて華やかさを助力する。 とても自由に色を使ったコレクションの妙味、それを、音としてはジャンルやテンポをこれでもかと自由に往来する事により、とても柔軟に、自然にアシストしている。 ショーミュージックとしてのこの、無垢なまでに自然に服に寄り添って同居する音楽の素晴らしさに感服、感動

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      ボイスサンプルの技巧 - Versace | Spring Summer 2019

      全体を通して、無駄な要素をかなり削ぎ落とした本当にミニマルのよさのしっかりした構成と曲。 でもただのシンプルすぎるミニマルにはなりすぎず、要所要所のギミックやパーカッション、変調などで質感の変化をしっかりみせているのがかっこいい… ギミックはパーカッションのみならず、意外性のあるリードシンセや光沢のあるパッド、909やパンニングエフェクトの使用加減、などでも表現されていてこれだけミニマルなのにずっとあきずに聴ける、でもあくまでショーは邪魔しない絶妙加減。 ボイスサンプルの使い方がほんとにうまい… ボイスサンプルは使い方によってはほんと軽くなっちゃうのにうまく効果的に使われてる。 曲調が変わる時のレイヤーの重なっていき具合とかもライヒのドラミングなどのそれのようにあれ?あれ?と思っているうちに違うワールドに移行していってる気持ちの良さがある。 部分部分だけ聞くとともすると奇抜に見えるけど、全体を通して聞くとおのおのにしっかり展開としての意味があるところがすごい。 最後も、ミニマルでこその盛り上がり。完全にショーという特別な空間を記憶に残す素晴らしい完成度。電子音源とミニマルの構成でここまで威厳まで表現していることに感服。

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        アナログシンセの温度感 - Dior | Fall Winter 2019/2020

        「曲の方向性:テクノ、エレクトロニカ、など」 ディレイや、モジュレーションを、やりすぎず絶妙に、しかし割と多様に使いながら始まる序章、安定しきらないコードが続くことで逆にこれから始まる、という期待感を演出している。 ショーでは本当に多用されるシンプルなシンセベースやシンセのシーケンスは、やはり空気感の表情を作るけど、決して懐古趣味には陥らない巧みさ。 大半の音色がアナログシンセ感であることで、エレクトリックではあるけれど温度感が冷たくならずになるのは重要。 メロディーライン的なものも、モジュレーションとともにあるけれど決して主張しすぎず。 プロフェット5的なシーケンスでブレイクしたかと思ったらベースとアナログシンセドラムの世界へ。 こちらは一気にミニマルな空気感になるけれと、ノイズ的な音の散りばめも上手く、またやはりアナログシンセであってこその暖かさはキープ。 終盤はライトなドラムンベース感に発展。ここで「このシンセベースの音色」だったことが活きてくる。 全体が少しダークな印象になりかけそうになると、ベルっぽいノイズパーカッションや明るくいい意味でざらついたパッドが入ってきて、そうなるのを防いでいる構成も素敵。 終始安心するコードには落ち着かないものの、決して不安には持っていかないで聞くことができるニュアンスはとてもバランスが良い。 作業用にもエンドレスに聴いていられる

      16分音符ハイハットの痛快さ! - MSGM | Spring Summer 2018

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