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《4》印刷業界の事例(大川印刷)

今回は、「印刷業界」の事例をお伝えします。

今回、ご紹介するのは横浜市にある株式会社大川印刷という従業員約40名の中小企業です。


同社は日本国内で先進的な企業・自治体を表彰する「第2回ジャパンSDGsアワード」で「SDGsパートナーシップ賞」を受賞されています。


同社は2005年に「ソーシャル・プリンティング・カンパニー」になると宣言。本業を通した社会課題解決を目指し、SDGs採択前からCSR(企業の社会的責任)経営に取り組まれてきました。

環境印刷で刷ろうぜ」をテーマに、当時からノンVOCインキなどを使い、今では業界平均を大きく上回る割合の石油系溶剤ゼロのインキを使うことで、社外向けに「環境にやさしい印刷物」を訴求できるだけでなく、作業者が安心して働ける環境をつくり、従業員満足度の向上にもつなげています。

また、2016年からゼロカーボンプリントを「カーボンオフセット」(※)の手法を使って開始しています。同社がクレジットを購入した資金が森林保全に回り、印刷事業に必要不可欠な森林資源の保護に役立つ。そして、同社から印刷物を購入した顧客も間接的に環境保全に貢献できるという好循環を生み出しています。

カーボンオフセット 
CO2排出削減に取り組んでも削減しきれなかった排出量を、他の場所での削減量を調達して埋め合わせること。商品の製造などで発生するCO2量と同量のクレジットを購入することで、商品のCO2をゼロにオフセットできる。

そのほかにも「4カ国語のおくすり手帳」「紙製のリングを使った卓上カレンダー」など、次々と社会課題解決に向けた商品を打ち出しています。

同社の更なる特徴としては、従業員全員参加によるワークショップ形式で毎年の経営計画を策定する「ボトムアップ型」のSDGs推進です。SDGsを活用した経営計画を従業員が自由に話し合いながら策定した結果、やりたいテーマが一緒の従業員が集まって新規プロジェクトチームが立ち上がっ
ています。

例えば、ゴール7「再生可能エネルギー100%印刷」、ゴール8「若者カフェの開催」、ゴール15「日本初!FSC大川ブランド」といったように従業員自らが考えたテーマで意欲を持って活動に取り組まれています。

このように、事業のヒントをSDGsからも得てアイディアを次々と生み出し、

◆新規顧客の獲得(2018年度には上場企業を含む50社以上)
◆経営計画づくり
◆従業員への浸透

と、中小企業ならではのスピード感をもって次々と成果を出されているのは、多くの中小企業に希望を与える事例だと考えます。

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