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知らないとマズい?パーマの基礎知識

今回の記事は「これからパーマを勉強したい」という思いをお持ちの、アシスタントやJrスタイリストの方に向けた基礎的な内容となっています。パーマスタイルを思い通りに作るためには、センスやワインディングの技術を磨く事は大切ですが、更に「どうしてパーマがかかるのか?」をしっかり理解しておくことで、お客さまに心から喜んでもらえるパーマスタイルが提供できるのではないでしょうか。


①パーマ剤の配合成分

一般的なパーマ剤は第1剤と第2剤からなり、第1剤には還元剤とアルカリ剤が、第2剤には酸化剤が有効成分として配合されています。パーマ施術ではこれらの薬剤の働きを利用して、毛髪にウェーブ等を形成します

②毛髪を構成する4種類の結合

⽑髪は主にケラチンタンパク質をはじめとするタンパク質で構成されています。毛髪を構成するタンパク質には「ペプチド結合・水素結合・イオン結合・シスチン結合」という4種類の結合があり、パーマ施術ではシスチン結合の切断/再結合(還元/酸化)を行いますが、水素結合やイオン結合などもパーマのかかりに関連性があると考えられています。

パーマ施術では毛髪のシスチン結合を切断し毛髪を「軟化」させますが、シスチン結合を切断する力は第1剤に含まれる還元剤やアルカリ剤の種類、量により変わるため、施術前の毛髪の状態や目指すスタイルに合った、適切な薬剤を選ぶことが重要です。また、パーマ施術ではシスチン結合だけでなく、pHが上がることで切断されたイオン結合、水分によって切断された水素結合を含めた3つの結合をしっかり再結合させることも重要です。シスチン結合は、第2剤の酸化剤による酸化作用で再結合します。一方、イオン結合はpHを毛髪が安定する弱酸性(pH4.5~5.5)に戻すことで、水素結合は髪を乾かすことで再結合されます。再結合が不十分だとパーマのかかりが悪くなり、ウェーブがとれやすくなるだけでなく、不要なダメージにもつながります。だからこそ、パーマ施術を行う上では第1剤/第2剤処理だけではなく、適切な水洗や後処理を行うことも重要な工程となります。

③毛髪とpHの関係

毛髪の状態は、周囲のpHによって変化します。毛髪は水に濡れると水分を吸収し「膨潤」しますが、毛髪タンパク質が最も安定な弱酸性域(pH4.5~5.5)では、最も膨潤が小さくなります。これを「収れん」といいます。収れん状態では、キューティクル間の隙間も狭く安定した状態になります。毛髪が弱酸性域から外れるほど膨潤は大きくなり、特にpHが高くなる(アルカリ性域)ほどタンパク質が不安定な状態になります。

「膨潤度合いが大きくなる」という事は、毛髪の損傷につながります。そのため、パーマ施術前にダメージ度合いなど毛髪の状態を確認し、どのくらい膨潤させるかを考え、適切な第1剤を選ぶことが重要です。

④ウェーブ形成の仕組み

毛髪をロッドなどに巻き付ける(ワインディングをする)ことで、毛髪の内側と外側でズレができます。毛髪内にズレができた状態でシスチン結合など毛髪内の結合を切断した後、再結合させることでウェーブを形付けています。

パーマ施術後の毛髪内は、元の毛髪と比べるとストレスがかかった状態になっているため元に戻ろうとする力が働き、時間と共にウェーブは緩んでいきます。ホットパーマやクリープパーマなど薬剤以外の力を利用することで、ウェーブを長くもたせる事も可能です。また普段のケアやスタイリング方法でもパーマの持ちは変わってくるため、お客様に適切なアドバイスを行う事もパーマスタイルを長く快適に楽しんでいただくためには重要です。


今回の記事は基礎的な内容でしたが、毛髪や薬剤についての知識、更にホットパーマや縮毛矯正など、自信を持ってお客様にパーマを提案するためには学ぶべき知識はたくさんあります。皆さんが身に付けた技術やセンスを活かすためにも、パーマについての知識を深めてみてはいかがでしょうか。

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