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Vol.13 2億点の映画は20点で2点。

先日、友人から「”とある映画”に点数をつけるなら何点?」と聞かれて、私が答えた返事が…
『ルックやガジェットは2億点。
 SF映画としては20点。
 劇映画としては2点。』。
…ちなみに ” とある映画 ” とは、映画『ザ・クリエイター/創造者』(注1)の事でございます。

私は『SF作品の楽しみ方』の一つとして、『「巧緻に練られた設定」を愛でる』という所があると思ってまして。
(言い方を変えると、『自由な創造・想像が許される事でできる「思考実験」』と言えるかもしれませんね。)
その点 今作は、 ” 設定に看過できない穴がいくつも空いてる ” というか、「 ” ○○だったら、△△なんじゃないの? ” という感想を抱いてしまう箇所」が多く、観ていて とてもノイズになってしまったんですよね。

しかし そんな一方、『SFを定義づけるフレーズ』で、故 野田昌宏さん(注2)による「SFはやっぱり絵だねぇ」という名言があるのも事実。
『読み物にせよ、映像作品にせよ、1枚のイラストにせよ、 ” 直感を刺激する様な圧倒的なビジュアルイメージ ” こそが、SFの肝ではないのか!』という主張は、まさにその通り。

その観点から言えば、今作は圧倒的なビジュアルイメージや、凝ったガジェット描写、そして 時には隠喩的な、時にはコミカル的な印象深いシーンが目白押しで眼福の一言。

そんなこんなで、私は心の中で『ツッコミを入れつつも、大いに楽しむ』…という、不思議な鑑賞体験をしたのでした。
{※賞賛派・否定派のどちらにも着席できそうな勢い…まぁ、こんな書き方したら、双方から拒絶されるかな?(笑)}

…では今週の、(SFっぽい!?)締めの吃音短歌(注3)

しゃべりたい 「忘れないで」と スムーズに 影を残して 焼き尽くされる日

【注釈】

注1)ザ・クリエイター/創造者

2023年劇場公開された、ギャレス・エドワーズ監督によるSF映画。
米軍主導で人工知能(AI)の駆除が進められる近未来。AIが開発した「新兵器の破壊」の命を受けた兵士ジョシュアの前に現れた ” 新兵器 ” は、 “ AIの少女 ” だった…

注2)野田昌宏

SF作家にして翻訳家、更には日本国内における「スペースオペラ」を始めとした(主に出版物としての)『SFの伝道者』。
また、フジテレビ草創期からのTVマンという側面もあり、代表作の一つが『ひらけ!ポンキッキ』で、「ガチャピンのモデルでは?」ともささやかれている。
2008年6月6日 逝去。

注3)吃音短歌

筆者のハンディキャップでもある、吃音{きつおん}(注4)を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。

注4)吃音(きつおん)

かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと。

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