【Look back that day 5】

比較的金銭的に恵まれていた私は、学生時代ほとんどアルバイトをした経験がない。そんな私が後輩に誘われて行った唯一と言っても良いバイトが大手デパートの食品売り場での販売だ。

 食品と言ってもその売り場は、超がつくほどの高級食材を扱っており、確か5,000円以下の商品は無かった気がする。想像がつかないと思うので商品名をいくつか挙げておきます。「松茸昆布・・・」「鮑松茸・・・」

 買い物客が殺到する売り場でもなく、たまにいらっしゃるご婦人方は上品な方ばかりで私がもたもたと包装に時間を掛けても嫌な顔一つせず、のーんびりとお待ちくださった。途中から先輩の女性社員の方々が包装を一気に引き受けて下さったので実質ほとんどやることがなかった、気がする。

 今のデパートは知らないが、当時私はデパートに否、デパートの従業員に対し大いなる誤解をしていた。若く美人がわんさかいて・・・と考えていたのだが実際は少々年齢が高めだったり、少々強面で休憩時間の食堂は霧の中の何たら状態に紫煙でけ煙っていた。女性社員と仲良くなろうなどというよこしまな考えは霧散しできるだけ目立たぬように食堂の片隅で急ぎそばなど掻き込んだものだ。

 ある日、比較的面倒をよく見てくれる隣の海苔メーカーのお兄さんから合コンの誘いをいただいた。良い人だったので二つ返事でOKしたのだが、実はそれは軽い罠?策略だった。実はその海苔メーカーさんのうら若き女性の一人が私を気に入ったらしく待ち合わせの場所にはお兄さんのメッセージを持った女性が一人で待っていたのだ。

時期は確か12月29日か30日仕事納めの日だったと思う。

次回に後悔はつづく。

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