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スタートアップはどのような点で勤怠システムを選ぶべきか

はじめに

時々、顧問先の担当者様から「どこの勤怠システムが良いですか?」と聞かれる事があります。
今回は「具体的にここの勤怠システムがオススメ!」という話ではなく勤怠システムをどのような点で選ぶべきかの指標について書いていきます。

特に今回は大企業向けではなくIPOを視野に入れたスタートアップ向けでかつクラウド型の勤怠システムを想定して書いています。
その中でも会社に起因するもの(業種や業態)、個人に起因するもの(職種や労働時間制度)によって多様な働き方があるため、自社に合った勤怠システムを選んでいきましょう。

打刻方法

まず主な打刻方法は以下になります。

・PC/スマホで勤怠システムにログインまたはアプリで打刻
・ICカードや入退室管理システムなどでの打刻
・SlackやChatworkなどでの打刻

オフィスのエントランスでの打刻などを想定しているICカード(Suica等)や入退室管理システム(Akrun等)などでの打刻は打刻漏れが起きにくい事や不正打刻対策という点ではメリットはありますが、最近ではテレワークも増えてきた事もあり、ICカードなどの打刻よりもSlackなどの社内チャット内での打刻の方が好まれてるような気はします。

また在宅勤務や時差出勤、フレックスなどが混在する事により、現在誰が業務を開始しているのかが不透明になる事が想定されます。
その点社内チャット内での打刻であれば誰が出勤、退勤してるかが一目でわかるというメリットもあります。

また最近ではIPOに向けた上場準備段階にて証券会社より勤怠システムでの打刻時間とは別にPCログなどの客観的な労働時間の把握について確認を求められることがあります。そのため最近ではPCの稼働時間を労働時間としてカウントできる勤怠システムの導入を検討してるところも見かけます。

アラート機能

勤怠システムのよくあるアラート機能は以下となります。

・打刻漏れ
・一定基準超の時間外労働や遅刻回数、連続出勤など

2019年4月(中小企業は2020年4月)から36協定の上限規制というものが始まり、これによって各月や2〜6ヶ月の平均、年間での労働時間の上限が定まりました。そのため例えば2週間の時点で●時間以上の残業時間を超えている場合は管理者や本人へアラートがいくように設定をするなど事前の対策も必要となります。

スタートアップの成長過程での段階では、労働時間への意識というものが疎かになっているケースも見受けられます。管理体制がないと長時間労働を招き、会社側の賃金負担増、人材の採用や定着率にも繋がります。またIPOを視野に入れる場合は法令遵守の観点から長時間労働対策は必須といえます。

労働時間制度や休暇設定などの機能

こちらは会社によって異なりますが、例えばフレックスタイム制や裁量労働制、管理監督者などの設定機能があるか、またシフトで働くアルバイトが多い場合はシフト管理などの機能があるのか確認が必要です。

また会社独自での休暇制度や半日での代休などがある場合もそれに対応してる機能があるかは確認すべきです。他にも法定休日も会社によって異なるため、システム内でどこまで設定できるかの確認も必要です。

申請・承認フロー機能

一般的に有給などの休暇申請はもとより、残業や休日出勤を申請制にしている会社もあるかと思います。上記でも述べたように36協定の上限規制や労働者側の健康配慮の観点から長時間労働にならないためにも申請・承認フローがある事は望ましいです。

またIPOを視野に入れるとなると内部統制の観点から承認を行う権限を明確にした体制作りというのも必要になってきます。また人数の増加に伴って管理体制も強化されて組織化されていく事で承認フローも本人→上司→人事部長など段階的に設定できる機能も比較的多く見受けられます。

他システムとの連携

こちらについては管理側メインの視点となりますが、結構重要です。
特に勤怠については給与に直結するものなので、給与システムとの連携ができるかの確認が必要です。
各社給与システムの中でも別サービスとして勤怠システムも開発してる企業もあれば、API連携の拡大をしている企業も増えてきております。

連携と設定が上手くできていればヒューマンエラーもなくなります。
給与計算は毎月必ず行うものなので工数を削減できるかでコスパに大きく影響します。また人事管理システムなどの別システムともAPI連携する事により、従業員情報の登録を複数回行わなくて済むので、現在お使いの各システムとのAPI連携の状況も踏まえてご検討ください。

また連携ができない場合だとしても最低限どのようなデータが出力できるのか(ファイル形式、出力範囲の期間や項目)は確認された方が良いです。

さいごに

上記以外でも料金やサポートの充実度、UIや管理画面の使いやすさ、法改正への対応など様々別の視点はありますが、今回はポイントを絞って書かせて頂きました。
日々新しいシステムの開発やアップデート、また働き方の多様化などありますが、まずは上記の基準を目安に自社に合った勤怠システムを検討してみてください。

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