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副業・兼業について会社として気をつける点は何か


そもそも副業・兼業の禁止はできるのか

日本国憲法では職業選択の自由が保障されているため、副業・兼業をすること自体は個人の自由となります。
ただし会社として従業員の副業・兼業を全て認めないといけないかというと、そうではありません。

過去の判例にて禁止・制限ができるケース
・労務提供上の支障となる場合
・企業秘密が漏洩する場合
・企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
・競業により企業の利益を害する場合

つまり一部例外として禁止や制限ができる場合がありますが、基本的には会社は副業・兼業を認め、上記以外の理由での一方的な禁止や制限をする運用などは避けるべきでしょう。
それでは続いて具体的にどのような事に留意すべきか書いていきます。

労働者の健康管理

労働契約法5条では「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」とあり、会社は全ての労働者に対して安全配慮義務を負っています。

そのため仮に従業員が長時間労働に伴う体調不調を起こした際、会社側が業務量や時間が過重であることを把握していたにも関わらず何も配慮していなかった場合は安全配慮義務違反として損害賠償責任を負うことになります。

対策
・副業・兼業の申請にあたり、事前にどの程度働くのかを把握、またその後も労働時間の把握のため報告をしてもらう
・就業規則等に本業に支障が出た場合は禁止・制限することを規定しておく
・健康状態に問題が発生した場合は適切な措置を講ずる(産業医へ相談、副業の制限や禁止、休職など)

情報漏洩

労働者は労働契約に付随して秘密保持義務というものを負っています。
業務で知り得た企業秘密情報の流出(いわゆる情報漏洩)は副業・兼業を認めることにより潜在的に高まるリスクがあります。
ただその中で秘密情報の範囲が不明確である、また情報漏洩のリスクが従業員に浸透していないという問題が考えられます。

対策
・秘密情報の範囲をある程度具体的に明示をした誓約書などを準備する
・もし情報漏洩が起きた場合のリスク(懲戒処分や損害賠償など)を伝えて注意喚起を図る
・就業規則等に秘密が漏洩する場合は禁止・制限することを規定しておく

労働時間の把握

労働時間の把握の目的は前述でも述べた①安全配慮義務の観点から健康管理のため、②労働時間の通算のための2点になります。

労働時間の通算
・労基法が適用されない場合(フリーランスなど)や管理監督者などを除き、基本的に労働時間は通算する
・割増賃金の支払い義務は、基本的には後から労働契約を締結した会社が負う
・通算した労働時間が、法定労働時間に達していることを知りながら労働時間を延長した場合は、先に労働契約を締結した会社が割増賃金の支払い義務を負う

労働時間の把握については従業員側からの自己申告によるものですが、厚生労働省の副業に関するガイドラインでもあるように、一定期間をまとめて報告させるなどが考えられます。

副業・兼業の申請方法

従業員の副業・兼業先において①競業にあたらないか、②情報漏洩のリスクはないか、③どの程度働く予定なのかなどを事前に把握するために以下の内容を記載した申請書を届出てもらうのが良いでしょう。
その際に情報漏洩についてのリスクを注意喚起する事や、労働時間の報告方法なども決めておく必要があります。

申請書への記載事項
・副業・兼業先の事業内容と業務内容

労働時間を通算する場合は以下も必要
・副業・兼業先との労働契約締結日や期間
・副業・兼業先での所定労働日、所定労働時間、始業や終業時間、残業見込みなど

さいごに

副業・兼業については会社と従業員のどちらにもメリットは多数あります。
ただその反面、潜在的なリスクが増えるのも事実です。
そのためにも副業・兼業先についての実態の把握、情報漏洩についての注意喚起、従業員の健康状態や副業・兼業先での労働時間の把握など、従業員と会社間でよりコミュニケーションが取りやすい職場作りが必要になってくると思います。


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