くるはらきみ|みめぐみ深き子供達
Text|KIRI to RIBBON
どこからともなく賛美歌が聞こえてきました。その調べは冬の空気を温かく包み込みながら、ここスクリプトリウムの石造りの壁に優しく反響しています。
詠うように祈りの絵画を紡ぐ《くるはらきみの画室》より、今年の聖夜に贈る最後の作品をお届け致します。
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賛美歌の調べにのせて、幼きイエス様に想いを寄せたきみ様の聖なる油彩作品です。村里の牧場で遊ぶ幼年時代の肖像ながら、その瞳には遠くを見通す聡明が宿り、しなやかな意志の強さが溢れ出ています。
本作は、額の両面にそれぞれ異なる絵画が配された作りとなっており、イエス様の成長を追うふたつの絵画を楽しむことができます。
神の子羊たるイエス様の幼い面差しには、ふっくらとした子供らしい頰と、どこまでも深く透明な大人びた瞳が同居し、観る者を厳かな気持ちへと導く聖なる雰囲気を湛えています。
反対側のより成長した肖像には、牧場を駆ける子供らしい野性の中に強い意志がいっそう現れています。硬く握った素朴な十字架に込められた未来の運命、しかしひるまずまっすぐ歩いて行く姿が活写されています。
きみ様の透徹の視線と祈りの画筆により生まれた、額のデザインも異なる造作も凝った一作。
朝の健やかな光の中で、あるいは静寂の夜の蝋燭の元で、絵画と、そして自分自身と向き合う時間を大切にしたい——スクリプトリウム《くるはらきみの画室》から、静寂で祝うクリスマスの本来の姿を少しでも感じて頂けましたら幸いです。
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作家名|くるはらきみ
作品名|みめぐみ深き子供達
油彩・キャンバス/油彩・アルシュオイル紙
作品サイズ|約11cm×11cm(両面)
額込みサイズ|約17cm×17cm
制作年|2020年(新作)
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