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くるはらきみの画室

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自然の中で暮らしながら絵画や人形を制作するくるはらきみの小部屋。油彩を中心にちいさな祈りを込めた作品を発表します。
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#モーヴ街

くるはらきみ|くすしき花の香り

 聖書の伝統を踏襲しながら新たな解釈をもたらす、くるはらきみさまの宗教画。本イベントでは、降臨節を祝うにふさわしい二作が届きました。  くるはらさまの作品に特徴的な、まあるい瞳。聖母マリアの半ば閉じられた目は、生まれたばかりの幼子であり、神秘的な花のように神の言葉を身にまとうイエスを見つめます。  エサイの根より生いいでたる救い主。背景の絡まりあう蔦は、純なる出自とともに繁栄を暗示する。天使が慎ましく祝福に訪れ、白く可憐な花を差し出します。花はかぐわしい香りを放ち、世に遍

くるはらきみ|いまも のちも とこしえに

Textヨネヤマヤヤコ  冷え冷えとした石造りのスクリプトリウムにある一室の扉を開くと春の温もりにあふれた油彩画に迎え入れられます。  くるはらきみ様はクリスマスの慶びに相応しいテーマとして「ルカの福音書」の一場面を選ばれました。  聖母マリアを歓待する聖エリザベツ。胎内の子もまだ見ぬイエスとの出会いを察し全身で喜びを表現しています。その愛らしい姿に顔がほころんでしまいます。彼はのちの洗礼者聖ヨハネ。聖霊に満たされた聖エリザベツは洗礼を暗示させる水色の衣を纏っています。

スクリプトリウムvol.3|くるはらきみ|心地よく秘密めいた庭

Text高柳カヨ子  修道院と植物の関係は深い。  修道院自体が庭から始まったと言われるほど、植物とは切っても切れない関係が存在する。そこは祈りの場であると同時に、自給自足のための食料を生産する菜園や薬品を製造する薬草園でもあったのだ。修道士は優秀な庭師でもあり、注意深く植物の声を聞きながら脈々とその知識を伝えてきた。  そしてその修道院の庭には薬草やハーブだけでなく、美しい花々も見事に咲き揃っていたことだろう。  緑多き長野の地で創作を続けるくるはらきみの作品には、

くるはらきみ|みめぐみ深き子供達

TextKIRI to RIBBON  どこからともなく賛美歌が聞こえてきました。その調べは冬の空気を温かく包み込みながら、ここスクリプトリウムの石造りの壁に優しく反響しています。  詠うように祈りの絵画を紡ぐより、今年の聖夜に贈る最後の作品をお届け致します。 *  賛美歌の調べにのせて、幼きイエス様に想いを寄せたきみ様の聖なる油彩作品です。村里の牧場で遊ぶ幼年時代の肖像ながら、その瞳には遠くを見通す聡明が宿り、しなやかな意志の強さが溢れ出ています。  本作は、額の

くるはらきみ|私の軛は負いやすく

TextKIRI to RIBBON  聖夜が近づくにつれて、ここスクリプトリウムの空気はいっそう澄み渡り、蝋燭の灯りも温かさを増してゆくようです。廻廊を抜けて、今日もくるはらきみ様の画室にやってきました。  森を望む窓辺で静かに画布に向かう画家の姿は、祈りの姿そのもの。筆使いに込められた祈りの風景を一緒に辿ってみましょう。 * 新作のご紹介 ——私の軛は負いやすく——  タイトルは、マタイによる福音書11章30節「私の軛は負いやすく、私の荷は軽いからである(聖

くるはらきみ|マドンナと白百合

TextKIRI to RIBBON   本イベントより、ここモーヴ街7番地では、とても嬉しいことに、自然の中で創作活動を行う画家兼人形作家・くるはらきみ様を新しいメンバーとしてお迎え致しました。 くるはらきみ画家・人形作家 →HP 東京生れ、長野在住。自然の中で制作をしています。キリスト教を表現するときは、古の人からの声に耳を澄まし少しでも未来に繋げて行けたら良いなと思っております。  修道院に見立てたここスクリプトリウム——長くキリスト教を重要な題材として取り組