くるはらきみ|マドンナと白百合
Text|KIRI to RIBBON
本イベントより、ここモーヴ街7番地《スクリプトリウム|菫色の写字室》では、とても嬉しいことに、自然の中で創作活動を行う画家兼人形作家・くるはらきみ様を新しいメンバーとしてお迎え致しました。
くるはらきみ|画家・人形作家 →HP
東京生れ、長野在住。自然の中で制作をしています。キリスト教を表現するときは、古の人からの声に耳を澄まし少しでも未来に繋げて行けたら良いなと思っております。
修道院に見立てたここスクリプトリウム——長くキリスト教を重要な題材として取り組まれてきたきみ様はかかせない存在です。《くるはらきみの画室》にて今後、祈りを込めた油彩作品を中心に発表を行って頂きます。聖書や賛美歌から、あるいは教会暦にそって届けられる聖なる作品にどうぞご期待下さい。
本イベント《モーヴ街のクリスマス》では、新作油絵3点と共に、これまでご参加頂いた展覧会の思い出を振り返りながら、常設作品もご紹介致します。
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新作のご紹介
《1》
——マドンナと白百合——
クリスマスにふさわしい聖なる一作が届きました。
いにしえの昔から様々な画家により描かれてきた受胎告知の場面。現代に生きるきみ様の瑞々しい画筆で出会えること以上の幸せはありません。
森の緑を背景に生き生きと煌めく「天の真実」を意味するウルトラマリンの青。マリア様の白レースのヴェールへと、やさしく流れてゆく天使ガブリエルが手にする「純潔」の象徴たる白百合——きみ様の祈りの筆致で描かれた持物(アトリビュート)の静謐な美が、しんしんと画布に沈静しています。
マリア様と天使ガブリエルが双子のように描かれているのも魅力的。告知の瞬間を捉えた、白百合の馨しい香りが過るかのような構図も見事です。きみ様特有の人形的アルカイックな面差しが、いにしえの宗教画への敬愛を思わせます。
「古の人からの声に耳を澄まし少しでも未来に繋げてゆく」——きみ様の創作活動のご姿勢がそのまま現れた、美しく清楚な一作です。
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——《夏の夜》の思い出——
霧とリボン企画
くるはらきみ & 影山多栄子 二人展
2019.6.22〜29
巡りゆく季節の中で、自身の感性に静かに向き合い、気配やイメージを形あるものとして紡ぐふたりの美術家——くつはらきみと影山多栄子の二人展を開催します。テーマはゴーティエ詩/ベルリオーズ作曲の歌曲集《夏の夜》。バレエの題材としても知られる「薔薇の精」はじめ、六篇の詩と音楽にオマージュを捧げます。夏至の頃、絵画と人形が奏でる美しい歌曲集にどうぞ耳をお寄せ下さい。
……展覧会DMより
くるはらきみ様と人形作家・影山多栄子さまの二人展をベルリオーズ没後150周年記念展として開催した展覧会。絵画と人形が奏でる美しい音色に包まれた6日間でした。
美しい夏至の日から始まった《夏の夜》——きみ様と影山さまの玲瓏なるイメージの交感は、観る者をひととき夢の国へといざない、実際の歌曲以上に豊かに歌われる、沈黙という歌曲の存在を教えてくれました。
ご出品作の中から、霧とリボン常設作品《水夫の死》をご紹介します。
天使と共に空高くのぼった恋人の死と反響するように、人魚と共に深い海の底へと沈む水夫の死——生の隣にある死、光の裏にある翳を、空と海の青に託して語る、きみ様の詩情あふれる画業。
ゆっくりと沈んでゆく浮遊感を捉えた、眺めているとひんやりとした水の温度までもが感じられる一作。水底に沈みゆく水の動きを写した額装も見所です。
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作家名|くるはらきみ
作品名|マドンナと白百合
油彩・キャンバス
作品サイズ|15cm×15cm
額込みサイズ|約22.5cm×22.5cm
制作年|2020年(新作)
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作家名|くるはらきみ
作品名|水夫の死
油彩・キャンバス
作品サイズ|27cm×21cm
額込みサイズ|41.5cm×36.5cm×5cm
制作年|2019年(常設作品)
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