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脚本『みちくさ』第1話


《シチュエーション》
高校の帰り道。公園のベンチで……。

《登場人物》
朝倉哲平(16)高校1年生。
後藤瑠海(16)高校1年生。


《形式》
・140秒の短編ラジオドラマ×12話構成。
・男女各1名・計2名で展開。。

《あらすじ》
朝倉鉄平(16)はといつもネガティブな事ばかり思考している哲学青年である。
そんな彼と、明るく元気なポジティブガールの後藤瑠海(16)が出会う。
《ネガティブをポジティブでひっくり返す!》青春ドラマ。

■第1話「我思うゆえに」……4月
瑠海「なにしてーんの?」

瑠海のMO「高1の春。高校からの帰り道。彼を見つけた。公園のベンチに座って哲学書を読むクラスメイトの朝倉哲平君だ。間違いない! 間違いないのに! 無視された! ショック!」

瑠海「(ムキになって)ねえ! なにしてんの!? ねえ! ねえ! ねえ!」
哲平「……み、みちくさ、です」
瑠海「みちくさ?」
哲平「人生の、道草をしているんです」
瑠海「私、クラスメイトの後藤瑠海!」
哲平「知ってますけど……」
瑠海「そっか! よかった!」
哲平「君、目立つから。で。何か用?」
瑠海「別に用ってわけではないけど」
哲平「じゃ、また」
瑠海「ねえ! なに読んでるの?」
哲平「……本、ですけど」
瑠海「内容!」
哲平「われ思うゆえに我あり」
瑠海「は?」
哲平「デカルトです」
瑠海「ああ……哲学?」
哲平「人生は退屈まぎれの暇つぶし。僕は自分の人生の長さに憂鬱を感じているんです」
瑠海「じゃあ、短かったらいいの?」
哲平「いや……そういうわけでは……。何かを成し遂げるには短すぎるし……」
瑠海「どっちにしても悩んじゃうんだね」
哲平「生きるのは辛いという話です」
瑠海「私たちは今を生きてるんだから。それが大事なんじゃない?」

瑠海のMO「私は、彼の隣に座った」

哲平「な、なんですか?」
瑠海「そっか。朝倉君の景色はこうみえてるのか。まわりがゆったりしてみえるね!」
哲平「だから……?」
瑠海「焦りは禁物ってこと感じてるんだね!」
哲平「僕は、別に……」
瑠海「人生道草するの、アリだね!」

哲平のMO「彼女はそう言って僕に笑顔を見せた。憂鬱の種がまた一つ増えた気がした」
(おわり)

実際のラジオドラマは下記より。ぜひお聴きください!



今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。