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【声劇台本】008「ひなたに咲け! 出会い篇」

<配役>
女子:宮坂ひなた(15)高校1年生。
男子:山本君(15)高校1年生。
ーーー本編ーーー
女子のMO「4月。宮坂ひなた、ついに高校生になりました。遅咲きの桜が咲く真っ直ぐな道を、新しく買ってもらった自転車に乗って全速力で駆け抜ける。意地悪された時代はもう去った。これから新しい私の歴史が始まるんだ。そう思うと自然と胸の鼓動が高鳴った」

女子のMO「高校到着! 教室に入る。時刻はまだ7時前。早く着きすぎちゃったかな、と思わず大きなあくびがでた。だけど、その時、私は教室に先客がいることに気がついた。思わず口元を両手でおさえた。でも、間に合わなかった。見られてしまった! 先客の、髪の毛ぼさぼさの男子は、私を見て、失笑していた。恥ずかしさで全身が沸騰する」

男子「うける」
女子「ひ、ひどい!」
男子「いや。その大きなあくびじゃなくて、アタマの方」
女子「えっ!?」
男子「桜の花びら。お姫さまみたいになってる」
女子「は、はあ!?」

女子のMO「私は両手で頭についた花びらを払った。自転車で桜並木を飛ばしてきたからだ。恥ずかしさでほてる感情を必死で押し殺して、私は平静を装った」

女子「変なこと言わないでもらえますか。え、ええと……」
男子「俺、山本。よろしく、桜のお姫さま」
女子「や、やめてくれませんか? その呼び方」
男子「だって、名前知らないから」
女子「(ムキになって)宮坂です! 宮坂ひなた、です!」
男子「じゃあ、改めて、よろしくな。桜姫」

女子のMO「そう言って、君はまた笑った。もうダメだ。私は真っ赤になっていた。せっかくの高校デビューがコイツのせいで……!? そんなのイヤだー!」
ーーーおわりーーー

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今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。