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【声劇台本】024「サンダルとマルガリータ」

猫とぽてち。さんからのお題「サンダルとマルガリータ」ということで書いてみました。

いつもと少し変化をつけて、ちょっぴり感傷的な男子の恋の思い出物語風にしてみました。

<配役>
若い男と女

―――本編―――
男のMO「一人の夏の夜。仕事帰りにいつものバーでマルガリータを頼む。俺はいつになったら彼女の事を忘れることができるのだろうか」

   SE 海。波の音。

女「賢君! 早くしないと消えちゃうよ」

男のMO「そう言って、彼女は打ち寄せる波の合間を見計らって、細い指先で白い砂浜に相合傘を書いた」

女「名前書いて!」
男「無理だよ。お前のサンダル持ってるし。すぐ波来るし。どうせ消えるし」
女「面倒くさがらない!」
男「どんな意味があるんだよ」
女「大事なおまじないなの! あー。消えちゃった。もう一回!」

男のMO「そういって、彼女は再び、相合傘を書いた」

   SE 波の音。遠くなり。

男のMO「結局、俺たちは、相合傘を完成させることはできなかった。俺は、あの頃、ちゃんと彼女と向き合えていたのだろうか……。後で調べたら、波が打ち寄せる間に、それぞれの名前を書くことができて、それが波に溶けると、二人の恋は愛になるのだと言う、そんな迷信だった」

   少しの間。

男のMO「一人になった夏の夜。仕事帰りにいつものバーでマルガリータを飲む。遠くに消えた恋の味がした」

―――おわり―――
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引き続きお題も募集しています。お気軽にどうぞ♪

今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。