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青春短編声劇台本集

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ポッドキャスト配信中 https://anchor.fm/story-office オリジナルの短編声劇台本(短編ラジオドラマ・ボイスドラマ)作品集です。 想定尺は140秒を基本… もっと読む
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#ラジオドラマ

【声劇台本】074「コラ・コラ」

「コラ・コラ」 《人物》 大原哲(17)高校2年生。 小松真美(17)高校2年生。 《本編》 真美「幼なじみの哲ちゃんと、バカみたいな話をしながら帰るのが私は好きだ」 哲のMO「高校生にもなって、幼なじみの真美とは、特に何かあるわけではないのだが。一緒に帰っていた。腐れ縁とは恐ろしい」 真美「コアラ」 哲「ラッコ」 真美「コ、コアラ!」 哲「ラ? ラ……ラッコ!」 真美「待って!」 哲「なに?」 真美「二回言った」 哲「は?」 真美「二回、言ったじゃん」 哲「なにが?」

【声劇台本】071「涙なんかじゃない!」

「涙なんかじゃない!」 《人物》 日比谷純くん(17)高校2年生。 三田円花さん(17)高校2年生。 《本編》 日比谷のMO「俺は、見てはならないモノを見てしまったようだ……!」 円花のMO「放課後、誰もいない教室で私は超クールタイプの目薬をさした。くうーっ! 勉強疲れにはこれが一番だ!」 日比谷「三田さん? な、泣いてる?」 円花「え。誰?」 日比谷「日比谷だけど」 円花「ひ、日比谷君!?」 日比谷「忘れ物、取りに来て……」 円花のMO「私はあわてて目をハンカチで隠

【声劇台本】070「グチグチ・ジャグリング」

「グチグチ・ジャグリング」 《人物》 志賀晴海(17) 大原夏彦(17) 《本編》 夏彦のMO「ジャグリングの自主練をする。ワザの名前はカスケード。3つのボールをくるくる回す、基本中の基本の手品だ。だけど、俺はまだ一度も成功したことがない、くそう……」 晴海のMO「高校の中庭で夏彦を見つけた、また例の手品を練習しているようだ。これは絶好の一眼レフ・ターゲット! 私は彼をフレームに納めて連写した」 夏彦「っちょ! 晴海、撮るな。寄るな。近づくな!」 晴海「成功したら、か

【声劇台本】069「左側の雨、右側の恋」

「左側の雨、右側の恋」 《人物》 立花保乃(17)高校2年生。 山田昇(17)高校2年生。 《本編》 保乃のMO「真冬の大雨はイヤだ。冷たくて、凍える。昇降口で私は雨空を見上げた。今日って雪の予報だったのに! なんで!?」 山田「(寒そうに)立花……」 保乃のMO「その声に驚いて私は隣を見た。山田君が屈んで震えていた」 保乃「や、山田君。なにしてるの?」 山田「傘忘れたんだよ、さみぃー!」 保乃「今日雪って予報だったじゃん」 山田「雪ならさ、別にぬれないからいいかな

【声劇台本】067「スノームーン・フレンド」

昨日が、スノームーンと言われる満月だったということで。 それをお題にして1作品書いてみました。 「スノームーン・フレンド」 《人物》 深沢陽子(17)高校2年生。 紺野明(17)高校2年生。 《本編》 陽子のMO「満月に手が届きそうな夜は、あなたを思う」 陽子「もしもし」 紺野「はい。もしもし」 陽子「深沢です」 紺野「紺野です」 陽子「こんばんは」 紺野「こんばんは」 陽子のMO「私たちの通話の導入はいつもどこかよそよそしい」 陽子「お元気ですか?」 紺野「元気

【声劇台本】065「水たまりフィロソフィー」

「水たまりフィロソフィー」 ■人物 森下計くん(16)高校1年生。 安達未来ちゃん(16)高校1年生。 ■本編 森下のMO「雨上がりの下校時刻。校庭で水たまりをじっと見つめる君がいた。また不思議なことを考えているのだろうか……」 森下「安達、今日は何してるんだ?」 未来「森下君。お疲れー」 森下「お疲れー」 未来「水たまり見てたんだよ」 森下「へえ。水たまり? 何か発見あった?」 未来「うん。水たまりって不思議なの!」 森下「え? なにが?」 未来「だって……水が平面的

【声劇台本】064「フライング・クッキー」

「フライング・クッキー」 ■人物 鈴ちゃん(16)高校1年生。 衛藤くん(16)高校1年生。 ■本編 鈴のMO「秘かな恋心に火を灯す2月。クッキーを焼いた。手作りだ。本命の彼に渡す前に、私は幼馴染みの衛藤を呼び出した」 衛藤「鈴。俺に頼みって何?」 鈴「あのさ、衛藤。毒味係やってくれない?」 衛藤「毒味係って?」 鈴「クッキーの味見!」 衛藤「何? 作ったの?」 鈴「まあ……。2月だし」 衛藤「不器用なお前がお菓子作りねえ」 鈴「だから。味見して」 衛藤「無理!」 鈴「

【声劇台本】063「世界の片隅ワンダーランド」

「世界の片隅ワンダーランド」 ■人物 井上くん(17)高校2年生。 尚子さん(17)高校2年生。 ■本編 尚子のMO「地学準備室が私たちの集合場所。扇風機が回る暑い夏の午後。今日も君は地球儀を回して。その回転を止めるのが私の役目だ!」 尚子「次! アメリカ!」 井上「え? アメリカ? 広すぎるよ。もっと正確に言うと?」 尚子「ええと、指差した場所は、アメリカの……カルフォルニアかな?」 井上「カルフォルニアかあ……カ行……カ行」 尚子のMO「君は百科事典を開いて。カル

【声劇台本】062「ポストイット関係論」

「ポストイット関係論」 ■人物 亜希子ちゃん(17)高校2年生。 野木くん(17)高校2年生。 ■本編 亜希子のMO「あなたと私の関係に名前はまだない。教室の隅っこで机を並べて、私たちのキーワードをポストイットに書き出して分類整理してみた」 野木「手軽」 亜希子「気軽」 野木「身近」 亜希子「距離感」 野木「最適」 亜希子「居心地」 野木「親近感!」 亜希子「意地悪」 野木「ゆったり」 亜希子「のんびり」 野木「すっきり」 亜希子あ「さっぱり」 野木「ピッタリ?」 亜希

【声劇台本】061「ラブレター」

ラブレター書いた事ってありますか? 私は……秘密です。(笑) 「ラブレター」 ■ 宮藤君(16)高校1年生。 北川さん(16)高校1年生。 ■本編 宮藤君のMO「高校1年生だった僕たちに隠し事があったとすれば、それはお互いに本当の気持ちを言わないことだったと思う。それはお互いの関係維持のための必要絶対条件のようなもので、暗黙の了解だった」 北川さんのMO「宮藤君へ。一学期の最後、転校してしまう私に手紙の交換をしようって言ってくれたこと。とても嬉しかったです。私なんかで

【声劇台本】060「ツバメは自由な空を夢見るか」

ついに60本到達。次第に、少女漫画系胸キュン路線から色々な青春の形に変化しつつある作品の流れも感じていただけると面白いかと思います。 「ツバメは自由な空を夢見るか」 ■人物 久志君(17)高校2年生。 野沢さん(17)高校2年生。 ■本編 久志君のMO「ツバメのように大空をびゅーっと風を切って飛び回れたなら。このパシリの人生のしがらみから、少しは自由になれるだろうか」 野沢さん「またパシられてんの?」 久志君のMO「校舎の端の自販機で大量のペットボトルを抱えている僕

【声劇台本】059「憂鬱シュークリーム」

「憂鬱シュークリーム」 ■人物 小春ちゃん(17)高校2年生。 研君(17)高校2年生。 ■本編 小春「この世界から消えちゃいたいなあ」 研のMO「プチシュークリームを食べながら、小春はそうつぶやいた。小春は高校を休み出して半年になる引きこもりだ。病院に通うのと、週1で俺と外のカフェで話すのだけが彼女の存在理由らしい」 小春「憂鬱なんだよ」 研「憂鬱ねえ……」 小春「死にたいってより、消えたい、ってほうが正しいんだよね、この感覚は」 研「どう違うんだ?」 小春「消えたい

【声劇台本】058「昼下がりの天使様」

突然ですが、みなさんは電信柱にぶつかったことはありますか? 私、リアルにあるんです。そうです。ドジっ子なんです。今日のお話にはそんな実感も込めました。コメディです。では早速どうぞ! 「昼下がりの天使様」 ■人物 三好くん(17)高校2年生。 秋元さん(17)高校2年生。 ■人物 三好くんのMO「いつもと違う、ポニーテールの秋元さん。学校と違って、急に大人に変身したみたいで、綺麗で、とても綺麗で……僕は、気づいたら、電柱にぶつかっていた!」 秋元さん「(心配して)三好君

【声劇台本】057「雑魚と人魚と夏の空」

「雑魚と人魚と夏の空」 弱いけど、正義感のある男子くんと、強い強い女の子のお話です。 ■人物 修司君(16)高校1年生。 寺山さん(16)高校1年生。 ■本編 修司くんのMO「この高校で寺山さんは誰よりも泳ぐのが速い! 僕の中のダントツヒロインだ! それなのに。寺山さんを魚みたいってだってバカにして笑う同級生たちがいた。だから僕は! そいつらに殴りかかった!」 寺山さん「無茶なことしてバカみたいー」 修司くんのMO「中庭でボコボコにされ、倒れている僕を、寺山さんが校舎