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青春短編声劇台本集

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ポッドキャスト配信中 https://anchor.fm/story-office オリジナルの短編声劇台本(短編ラジオドラマ・ボイスドラマ)作品集です。 想定尺は140秒を基本…
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2020年2月の記事一覧

【声劇台本】073「渦巻ユア・ネーム」

「渦巻きユア・ネーム」 《人物》 井上みちる(17)高校2年生。 大森久志(17高校2年生。 《本編》 みちるのMO「ボールペンで好きな人の名前をひたすらノートに書いていく。そしてインクが切れたら想いが届く。そんな都市伝説、私は信じない!」 久志「みちる。またノートに渦巻き。勉強会なんだから、集中しろよ」 みちる「気分転換してたの」 久志「混乱してるんじゃねーの?」 みちる「私流の、思考の整理術、なの」 久志「わかんない問題あったら言えよな。せっかくの勉強会なんだから」

【声劇台本】072「争奪メロンパン」

ときめきをあなたへ!届け! 青春短編声劇! 「争奪メロンパン」 《人物》 丸山南(17)高校2年生。 西野義昭(17)高校2年生。 《本編》 南のMO「5月の憂鬱な昼下がり、私は高校の購買で大好きなメロンパンを買おうとした。これが最後の一個だ」 義昭「南! ちょっと待ったあああああ!」 南のMO「クラスメイトの義昭が私の前に割り込んできた」 義昭「それ、俺のメロンパン!」 南「はあ!?」 義昭「悪いな」 南「いやいやいや。義昭。横入りですから」 義昭「これが俺のメ

【声劇台本】071「涙なんかじゃない!」

「涙なんかじゃない!」 《人物》 日比谷純くん(17)高校2年生。 三田円花さん(17)高校2年生。 《本編》 日比谷のMO「俺は、見てはならないモノを見てしまったようだ……!」 円花のMO「放課後、誰もいない教室で私は超クールタイプの目薬をさした。くうーっ! 勉強疲れにはこれが一番だ!」 日比谷「三田さん? な、泣いてる?」 円花「え。誰?」 日比谷「日比谷だけど」 円花「ひ、日比谷君!?」 日比谷「忘れ物、取りに来て……」 円花のMO「私はあわてて目をハンカチで隠

【声劇台本】070「グチグチ・ジャグリング」

「グチグチ・ジャグリング」 《人物》 志賀晴海(17) 大原夏彦(17) 《本編》 夏彦のMO「ジャグリングの自主練をする。ワザの名前はカスケード。3つのボールをくるくる回す、基本中の基本の手品だ。だけど、俺はまだ一度も成功したことがない、くそう……」 晴海のMO「高校の中庭で夏彦を見つけた、また例の手品を練習しているようだ。これは絶好の一眼レフ・ターゲット! 私は彼をフレームに納めて連写した」 夏彦「っちょ! 晴海、撮るな。寄るな。近づくな!」 晴海「成功したら、か

【声劇台本】069「左側の雨、右側の恋」

「左側の雨、右側の恋」 《人物》 立花保乃(17)高校2年生。 山田昇(17)高校2年生。 《本編》 保乃のMO「真冬の大雨はイヤだ。冷たくて、凍える。昇降口で私は雨空を見上げた。今日って雪の予報だったのに! なんで!?」 山田「(寒そうに)立花……」 保乃のMO「その声に驚いて私は隣を見た。山田君が屈んで震えていた」 保乃「や、山田君。なにしてるの?」 山田「傘忘れたんだよ、さみぃー!」 保乃「今日雪って予報だったじゃん」 山田「雪ならさ、別にぬれないからいいかな

【声劇台本】068「白く深く」

「白く深く」 《人物》 藤田琴美(17)高校2年生。美術部。 森山トオル(17)高校2年生。陸上部。 《本編》 琴美のMO「白い吐息を漏らす。冬の夕暮れ。私は高校の部活帰りに、いつもの交差点でトオル君が通りかかるのを待っていた。彼のランニングコースの休憩地点が、この交差点であることを私はよく知っている」 トオル「(走ってきて、息を切らしながら)藤田? お疲れ!(と呼吸を整える)」 琴美「トオル君も! 今日も走り込み? 感心だね」 トオル「藤田は? いま帰り?」 琴美「展覧

【声劇台本】067「スノームーン・フレンド」

昨日が、スノームーンと言われる満月だったということで。 それをお題にして1作品書いてみました。 「スノームーン・フレンド」 《人物》 深沢陽子(17)高校2年生。 紺野明(17)高校2年生。 《本編》 陽子のMO「満月に手が届きそうな夜は、あなたを思う」 陽子「もしもし」 紺野「はい。もしもし」 陽子「深沢です」 紺野「紺野です」 陽子「こんばんは」 紺野「こんばんは」 陽子のMO「私たちの通話の導入はいつもどこかよそよそしい」 陽子「お元気ですか?」 紺野「元気