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じめじめとみずみずしいの狭間

今日は久しぶりに、穏やかでしみじみとした、良い散歩が出来た。

広い公園の下草はいつのまにか膝を越すほど伸びていて、短いとこでも足首に触るのを、踏み分け踏み分けゆっくり進むと、スニーカーはぐっしょりと濡れた。

今太郎は濡れるのを厭わない。

久しぶりに、警戒しすぎることも興奮することもなく、じっと立ち止まって闇の音を聴いている。(サッカーのコーチの怒号が聴こえる、あれオレ嫌いだ)

あとは、林道と隣の公園を隔てる車道を、結構なスピードで走り去るトラックの音。

闇のどこからともなく現れるランナーの足音と、息づかい。

電線が雨に濡れて、ジジ…ジジ…と小さくショートし続けてる。

どれも好きじゃないけど、今日はそう嫌でもないね今ちゃん。

林道はみずみずしい。肩も膝もしっぽり濡れるけど、喉も肺も洗われるようで実に気持ちが良い。

小一時間、後になり先になり、常に2人の間のリードを弛ませて歩いた。ほんの20センチの距離に寄り添ったり、5、6mも先へ嗅ぎに行ってみたり。今太郎の歩くリズムに余裕があると、リードを手繰るのも送るのも上手くなったような気になる。リード捌きは実に、犬との共同作業なんだな。

家に着いて車を降りると、世界は実に不快にじっとりしていた。蒸れたアスファルトの匂い。

林道のあのみずみずしさと涼やかさはなんだったんだろう。


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