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ヨーロッパ文化教養講座(フィガロの結婚 シナリオ読破プロジェクト14 第14曲 伯爵・伯爵夫人・スザンナの三重唱)

2022/12/28
第13曲のスザンナのアリアで、ケルビーノを美しく可愛く女装させた。
引き続き 第2章第2幕
伯爵夫人の部屋に、スザンナとケルビーノ

レチタティーヴォ
伯爵夫人とスザンナは、可愛くなったケルビーノをからかいながら、衣装合わせを続ける。
ケルビーノが、何処かで擦りむいた傷を伯爵夫人が気づき、スザンナに絆創膏を取りに行かせる。
伯爵夫人は、その傷を縛っているリボンが、自分のものであることに気がつく。
ケルビーノは、伯爵夫人の肌に触れた、そのリボンが絆創膏より効き目があると言う。そして、戦場に送られる自分の身を嘆く。

その時、伯爵が扉をノックし、鍵が掛かっていることをいぶかる。

伯爵夫人は動転し、ケルビーノを自室の化粧室に隠す。

第2章 第3景
伯爵夫人と、部屋に入ってきた、狩猟服姿の伯爵 

レチタティーヴォ
伯爵は、何故鍵をかけたかと問いただす。
伯爵夫人は、スザンナに手伝ってもらって着替え中だったという。
#着替えにメイドが手伝わないことはありえないので、スザンナは、既に自室に戻ったと苦しい言い訳をする。
伯爵が(フィガロが書いた)手紙を伯爵夫人に見せたとき、化粧室でケルビーノが大きな音をたてる。
伯爵は、伯爵夫人を化粧室の前で問いただす。伯爵夫人は、スザンナだと言うが、さっき自室に戻ったと言ったばかりでしどろもどろになる。

そこに、スザンナが戻ってきて、伯爵夫人の部屋の扉前で、伯爵と伯爵夫人が化粧室の前に立っているのを発見する。

No. 14 Tezzetto 第14曲 (小)三重唱

伯爵: 
Susanna or via sortite, -> Susanna ora via soritite, (sortir は、仏語で uscireの意味)
Soritite io cosi' vo'. -> Soritite io cosi' voglio.
スザンナ、今すぐ出てきなさい、
出てきなさい、私がそう望んでいる。

Susanna or via sortite,
伯爵 は スザンナ に 敬称 の voi で 語りかける。 私的 な 会話 で 彼女 に 言い寄る 際 には 親 称 の tu で あっ た が、 夫人 を 前 に し た 一応 公式 とも いう べき 場面 では 形式 ばった 敬称 と なる。 伯爵 夫人 も、 自分 の 召使 で ある スザンナ に 通常 は 親 称 の tu で ある が、 少し 先 の スザンナ への 命令 で、 やはり 伯爵 を 前 に し て 形式 ばった 言い方 を する ため に 敬称 の voi を 使う。

sortite, io così vo’.
伯爵 が“ 私 が( io)” と 言う のは、 既に 註 に し た が、 たとえ 伯爵 家 の 当主 で あれ、 本来、 夫人 の 侍女 で ある スザンナ に 夫人 を 飛び越え て 命令 する のは 支配 系統 の 道筋 から 外れる こと を 意識 し て いる ところ から 発せ られる、 と 思わ れる。

電子版より


伯爵夫人:
(al Conte, affanata)
Fermatevi … sentite …
Sortire ella non puo'. -> Ella non puo' sortire.
おやめください。お聞き下さい。
彼女は、出ることができません。

#扉の前で スザンナ:
Cos'e' cotesta lite! -> Cos'e' codesta lite!
Il paggio dove ando'!
この口論は、どうしたの!
小姓は、何処に行ったの?!

伯爵:
E chi vietarlo or osa? -> E chi osa vietarlo ora?
そして、誰が敢えて、今そのことを禁止する。

伯爵夫人:
Lo vieta l'onesta' -> Lo L'onesta vieta
Un abito da sposa 
Provando ella si sta.  -> Ella sta provandosi.
礼節がそのことを禁じています。
花嫁衣装を
彼女は試しているところです。

伯爵:
Chiarissima e' la cosa:
L'amante qui sara'
事は非常に明白
愛人がここにいるのであろう。

伯爵夫人:
Bruttissima e' la cosa,
Chi sa cosa sara'
事は最悪
何が起こか、誰もわからない。

スザンナ:
Capisco qualche cosa,
Veggiamo come va. -> Veddiamo come va.
何かがわかってきた。
どうなるか、見てみましょう。

伯爵:
Dunque parlate almeno.
Susanna se qui siete …
それでは、少しでもしゃべりなさい。
スザンナ、もし、そこに居るのであれば。

伯爵夫人:
Nemmen, nemmen, nemmeno,
Io v'ordino tacete. -> Tacete, io v'ordino.
(Susanna si nasconde entro l'alcova.)
それも、それも、それもダメです。
黙りなさい と私が命令している。

スザンナ:
Oh cielo un precipizio,
Un scandalo un disorine,
Qui certo nascera'.
おお、天よ。深淵が、
醜聞が、騒動が、
ここで、間違いなく、生まれるでしょう。

伯爵と伯爵夫人:
Consorte mio (mia), giudizio,
Un scandalo un disordine
Schiviam per carita' -> Schiviamo 
私の妻(夫)よ、良識を
醜聞を、騒動を、
避けましょう、何とかして


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