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ヨーロッパ文化教養講座(藤田真央のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集 鑑賞記-7 第7番 K.309)

2023/03/13
評判になった藤田真央のピアノ・ソナタ全集を第1番K.279から聞き進めてきた。ピアノ・ソナタ18曲は、1775年(19才)から1789年(33才)まで、ほぼ人生の後半部分にあたるので、伝記を読んでいる気分になる。

K.279 ~K.284の6曲は、ケッヘル番号も連番で、1777年にミュンヘンで書かれたことがわかっている。

第7番 ハ長調 K.309
作曲は、1777年10月~11月(21歳)マンハイム

第1楽章 アレグロ・コン・スピリト 4/4 ハ長調 ソナタ形式
第2楽章 アンダンテ・コン・ポコ・アダージョ 3/4 へ長調 変奏曲
第3楽章 アレグレット・グラツィオーソ 2/4 ハ長調 ロンド形式

1777年9月に、ザルツブルクに戻っていたモーツァルトは、21才になって母親と一緒に就職活動の旅にでる。
旅程は、ミュンヘン->アウクスブルク->マンハイム->パリだった。
10月に父親の故郷アウクスブルクへ行って、従姉妹のベーズレ(排泄物嗜好の書簡で有名)とフォルテ・ピアノ作者シュタインと会う。シュタインのフォルテ・ピアノに感銘を受けたことがピアノ・ソナタの創作意欲をかき立てられたらしい。
その後、10月30日にマンハイムへ到着し、宮廷楽団長カンナビヒ家に入り浸る。楽しい日々だったらしい。
7番目のソナタ、K.309は、その時、カンナビヒ家の娘ローザ嬢の性格に合わせて作ったといわれている。

楽しい気分で作ったのか、全曲を通して楽しいソナタとなっている。

演奏時間:
① 真央君 2021年(23才)
I 5:37 II 6:00 III 5:48
② 内田光子
I 5:35 II 4:48 III 5:59

以下は、アマゾンミュージックより
③ リリー・クラウス
I 5:47 II 5:21 III 5:55
④アンドラーシュ・シフ
I 5:34 II 6:23 III 6:39

⑤イングリッド・ヘブラー
I 6:43 II 6:01 III 7:12

⑥ ファジル・サイ
I 8:19 II 5:14 III 6:05
⑦マリア・ジョアン・ピレシュ
I 8:49 II 6:37 III 7:07

感想:
①の真央君と②の内田光子は、2楽章のテンポが大きく違う。
モーツァルトも「情感込めて弾きなさい」とローズ嬢に教えたそうなので、
この点から、真央君に一票

③~⑦でも、この曲は好きな演奏が多かった。
特に、
⑥のファジル・サイは、この曲は緩急か大きすぎることもなく、好きな演奏。


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