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ヨーロッパ文化教養講座(藤田真央のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集 鑑賞記-6 K.284)

2023/03/12
第6番 二長調 K.284 (デュリニッツ・ソナタ集の6曲目)
*6番だけを、「デュリニッツ」とサブタイトルを付けるようだ。
また、この曲だけモーツァルトの生前に発表されている。
作曲は、1775年(19歳)ミュンヘン

第1楽章 アレグロ 4/4 ト長調 ソナタ形式
第2楽章 アンダンテ 3/4 イ長調 ポロネーズ風のロンド形式
第3楽章 アンダンテ 2/2 二長調 変奏形式、主題の12の変奏

演奏時間:
①  真央君 2021年(23才)
I  4:44 II 4:37 III 15:33

以下は、アマゾンミュージックより
②  リリー・クラウス
I 5:07 II 4:17 III 15:11
③  フリードリヒ・グルダ
I 7:10 II 3:23 III 15:38
④ ファジル・サイ
I 7:36 II 5:22 III 16:59
⑤ 内田光子
I 4:52 II 4:16 III 14:52
⑥ イングリッド・ヘプラー
I 5:40 II 5:07 III 16:22
⑦ アンドラーシュ・シフ
I 4:57 II 4:09 III 14:31
⑧ マリア・ジョアン・ピレシュ
I 7:37 II 5:31 III 17:04

コメント:
モーツァルトの初期の6曲については解説が少ないので、久元祐子氏の「モーツァルトのピアノ音楽研究」という本を手に入れた。

久元祐子氏によると、K284の第1楽章とヨハン・クリスチャン・バッハのソナタ作品5-2の第1楽章と旋律、全体の構成や書法が似ているそうだ。
久元祐子氏のホームページでは、両曲の一部を久元祐子氏の演奏で比べることができる。(バッハの冒頭+バッハの第一主題+K284の第二主題+バッハの提示部を弾いた演奏もあるが、違和感がない)

確かに、楽典的にはそうなのだろうが、全体のメロディの展開はやはりモーツァルトはモーツァルトだなと思う。

特に、初期6曲の内のこの曲は、小生には、音の密度が上がってきていて、よりモーツァルトらしいなと感じられる。

感想:
アマゾンミュージックで多くのレジェンドの演奏を聴くことができる。
年代も違うので音質的には比べてもしようがないが、

やはり、今の小生は、①の真央君と⑤の内田光子が好みである。
①の真央君は、全体のテンポが好きで、
⑤の内田光子は、特に弱音部が好きだ。

あと、②のリリー・クラウスも思ったより録音が良く、好きなタッチだった。

③のフリードリヒ・グルダは、昔はピアノ協奏曲を良く聞いていたが、今聞くと、装飾音が多すぎて、モーツァルトの初期の6曲では好みでなかった。

④のファジル・サイと⑧のピレシュはいずれも、響きが豊かで、華麗な感じがした。生演奏だと、のれるのかもしれない。

⑥のヘプラーはやはり、教科書的な感じがして、あまりワクワクしなかった。

⑦のシフは、演奏時間を見るとそうではないのだが、何か気持ちが急ぎすぎているような感じで聞こえていた。


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