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ヨーロッパ文化教養講座(藤田真央のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集 鑑賞記-8 第8番 K.310)

2023/03/16

第8番 イ短調 K.310
作曲は、1778年 (22歳)パリ
第1楽章 アレグロ・マエストーゾ 4/4 イ短調 ソナタ形式
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ・コン・エスプレッシオーネ 3/4 へ長調 ソナタ形式
第3楽章 プレスト 2/4 イ短調 ロンド形式

第8番 K.310 は、第9番 K.311 の後に作曲されたようなので、本来は9番となるべきだった。

K.309, K.311 はマンハイムで楽しい時間を過ごしたときに書かれた作品のようだが、K.310は、パリでの冷遇に加え、二つの悲しい出来事がモーツァルトに起こったあとの作品。
1.母親アンナ・マリアの死去 1778年7月3日 
2.ソプラノ歌手 アロイジア・ヴェーバー (1760~1839年)に振られた。
 なお、アロイジアの妹がモーツァルトの妻となる、コンスタンツェ(1762~1842年)
上記理由もあったのか、短調のソナタが2曲しかないモーツァルトの18曲のソナタの中で、傑作 K.310 が生みだされた。


演奏時間:
① 真央君 2021年(23才)
I 5:53 II 10:29 III 2:58
②内田光子 1985年(37才)
I 8:04 II 10:42 III 2:48
③アルフレッド・ブレンデル 1882年(51才)
I 9:41 II 9:21 III 3:29
④アルフレッド・ブレンデル 2002年(71才)
I 6:17 II 9:40 III 3:22

モーツァルトのソナタ イ短調 K.310の第1楽章は、私にとって交響楽団のための曲であり、第2楽章は劇的な中間部を持つ声楽の場面のようであり、フィナーレは管楽器のディベルティメントに全く問題なく転写できるだろう。

「音楽、センスとナンセンス (p.8)」バイトバックパブリッシンKindle 版。
アルフレッド・ブレンデル

コメントと感想:

1.久元祐子氏は、第1楽章について「これがモーツァルトのパトスの爆発だ! と言わんばかりにひとりで興奮して弾きまくるような演奏は、少なくともモーツァルトが望んだ演奏ではないだろう。」と言っている。
その解釈で、特に③のブレンデルはゆったりと弾いているのだろう。
ただ、現在の社会ペースに合わせるわけでもないが、小生としては、①真央君や、④ブレンデルの後の演奏の方が、しっくりくる。

2.後の2つの楽章は、①~④までそれぞれ聞いていて、これが好きだと言えないくらいみんな好きである。

3.どれかを選べと言われたら、録音が1番新しい真央君のCDを選ぶだろう。


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