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減っていく草原のお話~森林総合研究所・八巻先生①

11月上旬のゲストは、森林総合研究所の八巻博士(農学)です。

収録場所は筑波山ひとときさん。

筑波山の研究をされている先生に、筑波山でお話を聞くという最高のロケーションです。

(ご宿泊はこちらから▶︎筑波山ひととき


そして、筑波山ひとときの野堀さんも今回は同席していただきました。野堀さん、いつも本当にありがとうございます!もしかしたら八巻先生と野堀さんはお知り合いかな?と思いましたが、お二人とも初対面でした。野堀さんは筑波山でとても顔が広いのでお二人をご紹介できて本当に良かったです。


ーーでは早速、筑波山中腹の半自然草原の変遷についてお話をお伺いしたいです。

八巻先生「その前に、まず草原ってどういうイメージをもたれていますか?」

いつか「空地・売地って放っておくと雑草が生い茂るやつかなって思ってます」

野堀さん「僕、ハイジのイメージです」

八巻先生「草原といっても色んな草原があって、今日お話しするのはその中の一部分です。草原って自然のままの草原と、人の手が加わったことによって維持されている草原の2種類があります。

ハイジってアルプスですね。あれは人が森を伐採して牛を飼ったりしてああいう草原ができます。日本の場合はちょっと状況が違っていて、山のてっぺんだとアルプスのような草原ができるんですけど、標高が低い場所は放っておくと森林になっちゃうんですよ。

筑波山は馬に餌を食べさせるために草原があったのではないかと。人がずっと刈り続けて維持されたものなんですよね。

今日お話しする草原は人が維持している草原、それがものすごく減ってきている。それがなぜ問題かとうと、人の手が入ることによって生きられる植物や昆虫が、人の手が入らなくなったことで草原がなくなって生きられなくなってきてしまっている。」

野堀さん「もっと強い植物が繁殖を始めてしまってるんですね」

八巻先生「最終的に森になっちゃうので。

最新の研究では、縄文人が草原を自分たちで作り出していたことが分かってきました。縄文時代から明治初期まで日本の国土の10%が草原で、それが数千年続いていたのが、ここ百年で一気に減ってきてしまった。

いつか「人間の生活スタイルの変化により自然環境が大きく変わってきてしまったということですよね」

野堀さん「それは馬とか家畜を育てるために手入れしていたところが馬から車になったことや、新興住宅が増えたことで…?」

八巻先生「そうです、それとあと昔は草を肥料にするために育てていたのが、化学肥料ができたことによって必要なくなってしまったんですね。」

いつか「あと茅ですよね」

八巻先生「そうです、茅葺屋根にも使っていて、すごく必要性があったんですよね」

野堀さん「ちゃんと循環してたんですね」

いつか「この生態系がなくなってしまうということは…、自然のピラミッド?がごっそりなくなっちゃうっていうことなんですね」

八巻先生「草原に関わる生態系の部分がごっそりなくなってしまう、それが明治以降ここ百年くらいで急激に起きているのが問題です。」

(↑筑波山中腹からの眺め)

貴重なお話は来週、再来週にも続きます。

「明治時代までは国土の10%が草原だったのが、今では1%になってしまった。」

産業革命がもたらした生活の便利さは、人類の生活を一変させました。そしてその結果、自然環境も大きく変えてしまったんですね。

環境保護のイメージとして、植林や植樹がありますが(私もかつて植林活動してました)、草原の環境保護もとても大事。何かの形で関わっていきたいです


◆youtube→(準備中)

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