■成長の法則

成長の法則(やすだのほうそく008)

自転車が補助輪なしで乗れるように、英語での日常会話が流ちょうにこなせるように、化学反応式がスラスラと書けるように…。全くできなかった状態から、意識しなくても無難にできるようになるまでのトレーニングを振り返ると、その苦労が偲ばれます。

褒められてうれしくない人はいないし、認められたい。でも、褒められ続けて実力は伸びるのかなあ。厳しくされるよりもやさしくされたいのは、ごもっとも。厳しくあたられるのは、最初?あと? どっちがいいですかねえ。

こんな格言があります。

恩恵を施すには、初めはわずかで、後になるほど手厚くしていくのがよい。初め手厚くして後でけずっていけば、相手は恩恵を忘れてしまう。
威厳を示すときは、初め厳しくして、後になるほどゆるめていくのがよい。初めゆるくして後で厳しくすれば、相手は厳しさに耐えかねる。

恩宜自淡而濃。先濃後淡者、人忘其恵。威宜自厳而寛。先寛後厳者、人怨其酷。
出典:洪自誠『菜根譚』前集170(邦訳:守屋洋『決定版 菜根譚』PHP研究所、2007年)

与える(教える)側と、受け取る(学ぶ)側を分けてながめてみます。
与える側にとって、まさに箴言ですね。受け取る側の感覚は、直前の印象に引っ張られがちですから。

一方、受け取る側は、「寛大に恩恵を薄く(やさしくあっさり)」よりも「厳格に恩恵を厚く(きびしく濃く)」受けたほうが、自身の成長が望めると感じているのではないでしょうか。

確かに、与える(受け取る)タイミングは、印象を左右します。しかし、教育(学習)の効果の大小は、与える(受け取る)印象と一致するとは限りません。

たとえば、最初に恩恵を厚く、後で薄く受けた人が、「初心の私をていねいに導き、自立を促された」と感じることもあります。また、最初は寛大さを、後で厳格さを示された人が、「初心の私をやさしく導き、自律を促された」と感じることもあります。

ただ、それらの事例はおそらくとっても稀です。そのように感じることができるのは、優れた学習者であり、師を選びません。

「自分がどう成長していけるか」それがほんとうの問題なのに、外部要因、すなわち、いい先生、すばらしい先生に出会いたい、と思っているだけの場合があるのかも。
(やすだ)(2020年3月12日)

■「やすだのほうそく」シリーズ設定の意図 はこちら。
https://note.mu/science_air/n/ne466f10894b7

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