便を出し過ぎていませんか?

脊髄損傷者の排便管理は刺激性下剤を使用することが多く、同時に坐薬や浣腸を使用して排便管理をすることが多いです。

そうなると、何が起きるのでしょうか??

脊髄損傷になる前は、直腸にある便(S上結腸の一部も)が一定量、貯留したら、その便だけを排出するというのが人間が本来、あるべき排便の姿です。
普通の状態で、「S上結腸や上行結腸の便を出すぞー」という人は変わった趣味の方以外はいないかと思います。

つまり、脊髄損傷になると、本来は出さない便まで、便を出し切ることが目標になってしまいます。
これは便失禁したくないという理由と、排便日が曜日固定になっていて、今日、排便がないと困るという2つの理由からになります。

刺激性下剤を入れれば、否応なく、腸内輸送が早くなり、直腸まで便が下りてきます。そして、腸にある便は水分吸収がされきっていない水分が多い状態の泥状便や水様便で排出されてしまい、便失禁してしまいます。
柔らかい便が直腸に下りてきてしまうと、人間が持つ腸の反射で便を排出してしまうのです。
きっと、便が緩くなって、ちびってしまうという経験は誰しもあるでしょう。

刺激性下剤はそのような意味で、便秘は予防できても、便失禁は予防しにくい(すぐにトイレに行けて、便の知覚がある人は、この内容は間違って認識してしまうので読まないでください)のです。

さて、脱線しすぎましたが、本題の便を出し過ぎていないかです。

浣腸や坐薬を使用することで、直腸の伸張刺激を与えたり、腸内輸送を促進することで、S上結腸の便が出てきてしまいます。
便は連なっていることが多いので、それに伴い、排便をする介助者は便が出続けるということで、浣腸や座薬を使い続けて、便の切れるまで、無理やりに出し続けるという事態になってしまうのです。

脊髄損傷の方ではなく、介助を行っている人は無理やり便を出したことはありますでしょうか?
浣腸を60mlや坐薬を何度も使用してみてください。
何だか2~3時間、お腹と体の調子が悪くなったような変な感覚に陥ると思います。自律神経障害がある脊髄損傷者の方はもっと重い症状が出て、排便後は動けない、低血圧になる、疲労感が強い、食事が食べられないということになります。
さらに、摘便をやりすぎてしまい、直腸が傷ついて、トラブルも多くなります。

ある意味、これは仕方ない、受け入れるしかないということもあるのですが、理想的には、便失禁せず、便秘にもならないところで、終わるというか、「終える」ことが必要だと思います。

そのような意味でも、対麻痺で自己摘便できる方は、毎日、トイレに座って、下りてきた便のみを排出するというのが良いと思います。
坐薬を1本だけ使用するというのも良いでしょう。

これは理解されるのでしょうか・・

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