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第九話 それからのこと(最終話)
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バルバラはいなくなり、ぼくの生活はまた新しいものに変わっていった。
新しく来たメイドはおばさんで、そのまましばらくぼくの家にいた。彼女のことは嫌いではないし、とても親密で暖かい存在だったけれど、バルバラの代わりにはならなかった。
やがてぼくは大人になった。そしてそこで初めて、ぼくが「十年前の戦争」と呼ばれたあのときに、本当の父と母だと思っていた両親のところにもらわれてきた子だということを知った。バルバラはぼくの母だったのだ。戦争で片目を失い、父も死んだ状況でとてもぼくを育てられないと思い、父と母を頼ったのだという。
バルバラ母さんがメイドとしてぼくのところに来たとき、母さんは本当のことを言うべきか迷ったそうだ。けれど、経済的にあまり裕福でないので、このままぼくを預けていた方がいいと思ったという。一年間だけ一緒にいて、バルバラ母さんは帰ると決めたそうだ。
大人になってすべてを知ったぼくは、バルバラ母さんのところへ行くことを決心した。最後に会って数年、ぼくは何度も再会を夢見ていた。以前はメイドとして面倒を見てくれた母さんに、今度は母と息子として会いたいと思う。
そしてもう一度、あのタルトを食べたいと願っている。
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