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浅黄幻影、公開中の小説

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noteで公開している小説のマガジンです。 文藝マガジン文戯、てきすとぽい、BFCなどで書いたものをおいています。全年齢、幅広い人を対象にした作品群です。
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2021年3月の記事一覧

小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第1回)

 一.クリニック  今日も天気は曇り空、街には雪が降っている。マスクをしたぼくは小学校か…

浅黄幻影
3年前
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小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第2回)

 二.図書館  それは今からおよそ一ヶ月前、絶対に忘れたりなんかしない一月の十八日だった…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第1回)

 その人について思い出すとき、もっとも古い記憶として、私が手を引かれて家へと招き入れられ…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第2回)

 先生は私塾を開いていた。  学校が終わると多くの子供が集まり、先生の目の届くところで勉…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第3回)

 兄は家の手伝いをしていたが、それより幼い私にも仕事が割り当てられるようになった。  ま…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第4回)

 私もごく普通の子供だったので、毎日を暮らすなかではよく喧嘩もした。遊びの延長でついやり…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第5回)

 とことんまで悪心を許さない、それが私たちが見た先生の姿だった。それはもちろん、御自身についても同様で厳しいものだった。私を前にするとまったく動じないで道について説いてくれて、言葉には隙がないように思えた。  しかし兄は先生の心にもぐらつくものはある、と言った。 「俺が先生と一緒に買い物に行ったときだった。帰りの小路で財布が落ちているのを見つけたんだ。先生は拾い上げてな、『落としたものは困っているだろう』と言って中を確かめたんだ。多分、免許証なんかを探すためだろうけど。俺は

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第6回)

 兄の引っ越しを前にして一月のうちから準備が進んでいた。私もその手伝いをするつもりでいた…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第7回)

「知識に裏付けされた技術」について先生は話していた。優れた技術者は皆、自分の手元で起こる…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第8回)

 私は高卒での就職を考えていて、それは三年の秋頃に最終決定する。わかっていた独り立ちの重…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第9回(終))

 就職面接から逃げ出した私は、二次募集ではすべての会社から見事に蹴り飛ばされた。業界では…

浅黄幻影
3年前
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