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若者3

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敦煌の旅つづき。

旅先で知り合った若者は、話せば話すほど人の良い青年だった。

どこかあどけなさもあり、面白さもあった。

敦煌市内で見つけた中国人観光客向けのバスツアーで一緒になった同年代の女の子たちに気に入られていたのだが、気に入られていることにすら気づかない、素朴な青年だった。彼女たちを追いかければ良いのに、私が困っていることがないかいつも気にしていた。

玉門関などを巡り新疆ウイグル自治区との境までバスはやってきた。

残念ながら新疆へはこのツアーでは行くことができない。20年前は往来が自由だったが、中国政府の方針により今はそうではなくなってしまった。

毎年中国を旅していて思うことがある。

その時の風景は、次に来るときはなくなっているかもしれない、と。

20年前、中国に留学しているときの夏休みに新疆ウイグル自治区へ行った留学生が何人もいた。私は語学勉強の継続を期して中国東北部へ行ったが、新疆へ行っておくべきだっただろうかと今でも思うことがある。

ツアーは終わり、砂漠の夕日の中をバスは帰路についた。

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結局彼と彼女たちの間には何も起こらなかった。

彼女たちの方は、少し不満そうに見えたのだが、彼は本当に気づいていなかったようだ。

翌日の昼食を彼と一緒にとることにした。帰路のバスの運転手から美味しい店を彼が聞き出してくれていたらしい。全く気づかなかった。そんな気遣いができるのに、なぜ彼女たちの視線に気づかないのだろう。善人にもほどがある。

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「黄麺」という敦煌地方のご当地グルメと、ラクダ肉。両方とも大変美味しかった。

翌日莫高窟を見た後、彼は張掖へ行くという。私は蘭州市で黄河が見たかった。午前中一緒に莫高窟に行くことになった。

歴史に詳しい彼に解説をしてもらえそうだ。

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