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おふぃすかじゅある

3週間ぶりの出社日が迫り、上司から「次から私服で来ていいよ」とのお達しがあった。それまでは研修中のためスーツだったのだが、そろそろ暑くなってくるので助かった。

久しぶりにクローゼットを開け、私服勤務日の最初に選ぶのはやはり安全牌、就活を共に乗り越えた彼女である。

所謂オフィスカジュアルというやつである。就活を控え「オフィスカジュアル 就活」「就活 私服」で何度も何度も検索したオフィスのカジュアルなアレである。

当時ただのカジュアルな服しか持っていなかった私は、○ニクロに走って一揃い用意した。紺のパンツに水色のかっちりしたシャツである。これが違ったらもうどれも当てはまらないやろというくらい無難だった。

私と彼女は何度か一緒に新幹線に乗り、東京駅で迷い、説明会に参加し、違和感を放ちながら銀座のスターバックスに行ったりした。

彼女を着て行ったのは毎回私服で面接を行う会社があったからなのだが、何回か段階を重ねた面接で、にこやかに聞かれたことが忘れられない。

「今日はどうしてその服装を選んだんですか?」

これしか持ってないからです!
とりあえず無難かなと思って!

頭のなかでエンジンをフル回転させたところで、「働くならこんな格好かなと思ったのと」と話し出した私は、「あと、青が好きだからです」とちょっとはにかみながら告白していた。心底どうでもいい。

なるほど、と頷いた面接官の方は、「ひうらさん前もその服装でしたもんね」「青、似合ってますよ」と相変わらずにこやかにコメントしてくださった。

以前先輩から「いつもボーダーの服着てるね」と言われたときに似た恥ずかしさを覚え、彼女には「お前一生青い服着とけ」と言われた気がした。

そんな数々の思い出を作ったため、彼女にはかなり愛着がわいている。しかし職場で「ひうらさんいつもそれだよね!」と言われないように、いろんな色を身にまとおうと思う。まあ1番好きなのは青だけど。

#エッセイ #物書き #オフィスカジュアル



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