【2022年4月号】映画感想メモ(バクラウ 地図から消された村、ブルーベルベットなど)
※ 本記事の内容は、あらすじの解説やネタバレを目的としたものではありませんが、感想を述べるため、一部のシーンについて言及することがあります。映画をまだご覧になっていない方は、予めご了承ください。
【1】 透明人間(2019)
映画作品を1,000本以上観ると、スリラーなどは比較的パターンがあると分かってくるのですが、本作は最後の最後までオチを想像することができませんでした。それは恐らく、主人公の演技が、リアルを示すものなのか否か、絶妙に掴めないラインの表現だったためだと思います。余談ですが、3年前インドネシアにいた際に、この映画かソニックの2択になり、結局ソニックを選択したのですが、透明人間でも良かったなと思います。
【2】 バクラウ 地図から消された村(2019)
カンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞した作品。前半は正直展開が全く掴めず、「この映画のジャンルは何?」と聞かれると非常に困ります。平穏な雰囲気から徐々にカオスに変化していく構成は、割と直近観たミッドサマーを彷彿させます。そして、この映画には主人公という主人公がいないので、常に客観的に映画を観る自分がいることに気付きます。また、冒頭から明らかに不自然カットを挟むことで、何か「異質性」のようなものを観客に感じさせる仕掛けがあったと思います。
【3】 孤狼の血(2018)
本作は日本アカデミー賞にて、最優秀主演と最優秀助演を受賞した作品なので、「演技」という観点に注目したいと思います。特に松坂桃李さんの演技です。「正義とは何か」、「正しさとは何か」という問いに葛藤する様子は、映画作品『新聞記者』と似たものを感じます。最後のシーンの表情は、冒頭とは全く異なり、人格の変化が表現されていると思います。余談ですが、菅田将暉さんと山田孝之さんが以前、テレビで役者論について対談しているところを拝見し、自分が映画を観る上で「演技」の観点で観ることがまだまだできていないなと感じました。勉強ですね…。何から勉強したらいいのやら。トホホ。
【4】 ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)
友人からの強い推薦を受け、初鑑賞。また、この作品は、映画『ナラタージュ』の1シーンにも登場し、その影響力を感じます。感想を述べると、ネタバレになりそうなので避けますが、待っていたのは、観る前のイメージとは異なる展開でした。僕が個人的に気になったのは、その撮影方法です。定点ではなく手持ちカメラで撮影することにより、所々まるでドキュメンタリー映像のような雰囲気があります。また、冒頭で子供が嬉しそうに自転車で走り回るシーンは、いい意味でホームビデオのような和やかな表現になっていたと思います。一方で、ミュージカルのシーンは、定点カメラです。撮影方法を分けた意図が知りたいです…。主演のビョークさんは、歌手なのですね。
【5】 ブルーベルベット(1986)
今後2作品、デイヴィッド・リンチ監督の作品が続きます。上記『バクラウ 地図から消された村』にも通じますが、冒頭から不自然なカットがあり、その「異質性」に吸い込まれていきます。ストーリーは、大学生ジェフリーを中心とする「ミステリー/クライム」ですが、僕は個人的にジェフリーが所謂「主人公」には該当しないと思います。本来主人公とは、その喜怒哀楽を観客を共有することがキーになりますが、この映画では最後の最後まで本心が見えないというか…。しかし、この映画の多くの登場人物にはその傾向あり、それぞれが複数の顔を持ち、それが水面下で動いているので、相関図がすごいややこしいことになりそうです。
【6】 デューン/砂の惑星(1984)
同じ時期のSF映画としては、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』が1977年、『ブレードランナー』が1982年などがあります。上記『ブルーベルベット』や、来月記事を書く予定の『ロスト・ハイウェイ』と比較して、デイヴィッド・リンチ監督の「らしさ」は、あまり感じず…。また、登場人物の心の声が聞こえる演出は珍しいと思いつつ、同時に観客に思考させることをやめていると考えることもできます。ちなみに、多くの方が映画館に足を運んで、鑑賞したであろう『DUNE/デューン 砂の惑星』は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるリメイク作品です。
【7】 セイフ ヘイヴン(2013)
名作『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』と同じくらい何度も観返した映画です。ロマンス映画の中ではあまり有名ではないかもしれませんが、海辺の街(アメリカはノースカロライナ州、サウスポートと言う場所らしいです)を舞台に進む恋愛は、等身大でどこかゆったりとしていて、落ち着きます。そして、この映画、サウンドトラックが本当に素晴らしいです。僕も海辺の街に行く度に、このサントラをかけています。挿入歌のリンクを下に載せておくので、是非チェックしてみてください。
最後に
いやー、今月も濃いラインナップですね。
社会人生活が始まりましたが、想像以上に忙しいです。というか、単純に大学時代と比較して、ここまで自由時間が減るのかと驚いています。まだ完全には慣れていませんが、トライし続けたいなと。世の中の先輩方、本当にリスペクトです!
*2022年3月号の記事(チェックお願いします!)
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