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Brazil/Aquarela do Brasil[ブラジルの水彩画]

「ブラジル/ブラジルの水彩画 Aquarela do Brasil/Brazil」は1939年にブラジルの国民的作曲家のアリ・バホーゾ Ary Barrosoが作詞・作曲したサンバ。英語の歌詞はボブ・ラッセル Bob Russelによる。英語だとBrazilと表記され、日本でもことジャズでは「ブラジル」と呼ばれることが多い。が、ラテン・ジャズやブラジリアン・ミュージックをやっている人は「ブラジルの水彩画」と呼んでいた。ブラジル第二の国家とも言われる。ジャズではさまざまなスタイルで演奏されるが、ジャンゴも録音しているのでさしあたりマヌーシュ・ジャズ・スタンダードになっている。

ある日バホーソは、嵐で家の外に出ることができなった。これに着想を得て曲が書かれた。歌詞はポルトガル語だと愛国歌のようになっており、実際にバホーゾも「私の国の偉大さ、素晴らしさ、そして豊かさを感じた。国の伝統を追体験するような曲だ」と言っている。他方で英語の歌詞は、ブラジルという(ブラジル以外の国の人から見た)異国の地で経験した短い恋愛を歌っているように聴こえる。

録音

Quintette du Hot Club de France (Paris July 18 1947)
Hubert Rostaing (Clarinet); Django Reinhardt (Guitar); Eugène Vées (Guitar); Emmanuel Soudieux (Bass); Andr Jourdan (Drums);
ジャンゴにとってはじめてのブラジルの録音。ジャンゴのブラジルの録音だとこの録音が一番好きかもしれない。クラリネットのテーマのうしろで弾きまくるジャンゴがかっこいい。

Django Reinhardt and Stéphane Grappelli (Rome January-Febrary 1949)
Django Reinhardt (Guitar); Stéphane Grappelli (Violin); Gianni Safred (Piano); Marco Pecori (Bass); Aurelio de Carolis (Drums)
ローマでの録音。ブルージーなジャンゴのギターがかっこいい録音。後半のグラッペリの歌うようなソロも美しい。

Geoff & Maria Muldaur (Boston 1968)
Geoff Muldaur (Organ); Maria Muldaur (Shaker); Betsy Siggins (Vocal); Peter Ecklund (Trumpet, Whistling); Bill Keith (Pedal Steel); Billy Wolf (Bass); Billy Mundi or Rick Marcus (Drums)
ジェフとマリア・マルダーの録音。アコースティック・スイング。おそらくオルガンはジェフによる。これも楽しい素敵な録音。

Yoshihiro Arita (Newton, MA July September and December 1990)
Yoshihiro Arita (Guitar); Jim Guttmann (Bass); Matt Glaser (Violin); Mimi Robson (Violin); Pat Jordan (Viola); Martha Colby (Cello); Taki Masuko (Bongos)
有田純弘さんのアメリカ録音。ブルーグラスの5弦バンジョーやマンドリンだけではなくギターも超一流。この録音ではマット・グラサーたちがストリングス・カルテットとして参加。美しいマヌーシュ・ジャズ。

Sinti Swing Quartet (Versoix Switzerland 2007)
John Intrator (Violin); Sébastien Félix (Guitar); Youri Félix (Guitar); Alain Dessauges (Bass);
スイスのマヌーシュジャズ・バンド。テンポが速くてとても好きな録音。バイオリンがかっこいい!

The Morganville Four (Brooklyn December 13, 14 and 16, 2011)
Bria Skonberg (trumpet, vocals); Dan Levinson (C-melody saxophone); Gordon Webster (piano); Nicki Parrott (bass, vocals); Scott Kettner (percussion)
モーガンヴィル・フォー。落ち着いたトラッド・ジャズで、とくにニューヨークで活動している中堅が集まった録音。ゴードン・ウェブスターのピアノが耽美的。それとスコンバーグとパロットのボーカルも美しい。

Dominique Cravic and Friends (Saint-Cloud, France 2013)
Daniel Colin (Accordion); François Parisi (Accordion); Dominique Cravic (Guitar); Hervé Legeay (Guitar); Jean-Philippe Viret (Bass);
ドミニク・クラヴィクの録音。クラヴィクの作る音楽の基礎にはスイングとアコーディオンがあって、ここではダニエル・コランとフランソワ・パリが素敵なアコーディオンを聴かせてくれる。とても好きな録音。

LeleSwing (Florianopolis 2017)
Soledad Casanova (Guitar); Fabien Ducept (Accordion, Trumpet); Probably Rick O'Connor (Violin); Probably Tia Bass (Bass); Unknown (Trombone)
ブラジルで活動しているフランス-アルゼンチン・デュオのルル・スイング。リック・オコナーとティア・ベースがゲスト参加。ジャンゴ・スタイルをもとにミュゼットやニューオーリンズ・ジャズを取り入れた独自の音楽を作っている。楽しく聴けて好き。

The Mozes Rosenberg & Jelle Van Tongeren Quartet (Mariaheide, the Netherlands October 2021)
Mozes Rosenberg (Solo Guitar); Jelle van Tongeren (Violin); Daniel Rosenberg (Guitar); Martijn van den Brink (Double Bass)
モーゼス・ローゼンバーグとイェル・ファン・トンゲレンのバンドの録音。二人のユニゾンがすごい!ちょっとシリアスな感じ。


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